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今日は目をキラキラと輝かせた近所の子供たちに『とりっくおあとりーと!』と、つたない発音でお菓子をねだられた。みんなすごく可愛くて、口元をゆるませながら、用意していたお菓子をみんなに手渡してきた。


「お菓子くれ」


子供たちはあんなに可愛かったのに、このまるでダメなおっさんは、ソファに横になって死んだ魚の目でこちらを見ていた。しかも、ハロウィンというイベントに便乗しているくせにあの台詞すら言わないという、まるでダメなおっさんぶりを見せつけている。


「ありえない。可愛くない。だからあげない。」
「おまっ…仮にも彼氏にそんな言い方…」
「なまえ〜っ!お菓子寄越すヨロシ!」
「うん。はい、どーぞ。」
「わああ!なまえ!これ、手作りアルか?」
「そうだよ!味見したから一応大丈夫だよ。」
「ってオイィィ!!なんで神楽にはあっさり手作りクッキーなんかやってんだよ!」


後ろで、納得いかねぇ!と叫ぶ銀時にだって神楽ちゃんは存在が可愛いもん。と告げると、神楽ちゃんに抱きつかれた。


「私の可愛らしさを分かってくれるのはなまえだけネ!」
「分かるもなにもお前に可愛らしさなんてねー…ぶふおっ」
「うるせーヨ死んでろ天パ」


神楽ちゃんと銀時がじゃれ始めると玄関で誰かが帰ってくる音がした。多分新八くんだろう。「ただいまーってうわ!銀さん神楽ちゃん!何やってんのォオ!?」やっぱりね。


「おかえりなさい、新八くん。」
「なまえさん!こんにちは!」
「はい。これどうぞ!」


新八くんの分のハロウィン仕様カボチャクッキーを手渡すと新八くんは、わあ〜!おいしそうです!と喜んでくれた。新八くんも神楽ちゃんも素直で本当に可愛いなあ…。それに比べて銀時の奴は…。わざとらしくついたため息を遮るように銀時が私の前に立ちふさがった。


「なまえサン。神楽は百歩譲って許すとしよう。だけど彼氏より先に他の男にお菓子を渡すってどういう了見なの?」
「どういう了見って…かわいい子にはお菓子をあげよ的な感じ?」
「かわいい子には旅をさせよ的な感じで言うな。神楽、新八ィ…分かってるな?」


銀時が二人に目配せをすると二人はチラッと私を見てから思いきりうなだれた。二人のその行動を不思議に思っていると、「なまえ!絶対助けにくるアル!きっちり三時間後に!」「なまえさんすみません!三時間耐えてください!」と叫びながら外に走っていってしまった。


「え?ちょ、二人供どうし…」
「あいつらにさ〜なけなしの金をはたいてパフェをおごってやったわけ。」


銀時の言葉に、頭の中がもっとごちゃごちゃになる。それでどうして二人が三時間家を空けることになるの?と聞くと、いきなり銀時が私を抱き上げた。


「ひゃっ…っ!」
「つーわけでお子様は消えたし、大人のハロウィンとしゃれこもうや。」


三時間もあればイロイロ出来るだろ?と耳元でささやかれて、至近距離で銀時の意外と整った顔に、にやりと笑われて、思わず体を固くしてしまった。


「おおおお菓子ならあげるから!はい!」
「えーあんだけ頼み込んでもくれなかったしイタズラが先だろ?」


もしかして…と気付いて、わざと適当にお菓子催促したでしょ!と問い詰めれば、銀時は可笑しそうに笑いながら寝室へと足を進めた。


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ハッピーハロウィン!

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