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夜中にふと目が覚めて、ぼんやりと写る視界の中に光があることに気付く。寝る前に電気は消したはず…と思い返しながら隣で眠る人物に寄り添おうと手を伸ばした。しかしいくら伸ばしても辿り着けない。スクアーロ、と声を出してみたら、思った以上に掠れた音が出た。「起きちまったのかあ」「……うん」

起きたというか、スクアーロの姿がなくて驚いて目が覚めたという表現の方が近かったけれど、私は黙ってベットから抜け出した。ふわふわな絨毯の感触が寝起きの足の裏には少しくすぐったい。目を擦りながら近寄ると、スクアーロはペンを持ち、紙にしかめっ面をしていることに気付いた。


「こんな時間に……書類?」
「あぁ、ザンザスのヤローが押し付けてきやがった」


流石ボスである。そしてそんなボスに着いていくスクアーロも流石と言うべきなんだろう。私は口元が緩みそうになるのを押し殺しながら「大変ね」と返しておいた。


「ゔぉぉおい、お前はもう寝ろ。」
「なんで?」
「なんでって…お前なあ、」
「スクアーロがその書類片付けるまで待ってたい。」


私がスクアーロの隣にずるずると椅子をひっぱりながら告げるとスクアーロはわずかに赤らめた頬を見せないように私から素早く顔を反らしてしまった。


「あ、あんまり可愛いこと言うなあっ!」


いやいや、可愛いのはスクアーロの方だよ、なんて思いながら私はスクアーロの書類が片付いていくのをぼんやりと眺めた。次起きた時には絶対に手の届くところに居てねなんて言ったら彼はどんな反応をしてくれるのだろうか。


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title僕の精

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