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元親くん、と俺を呼ぶ柔らかい声も、俺に微笑みかけている姿も、他校のやつらとやりあって怪我した時、眉を寄せて俺を怒りながら手当してくれるところも、喧嘩したときすぐに泣きそうになるところも全部全部可愛いと思う。


「HA!ノロケならよそでやれってんだ!」
「うるせーなぁ、これはノロケじゃねぇ。事実をただ発表してるだけだ!」


俺が胸を張ると、伊達は「もーウンザリだ。」紙パックの牛乳を握り潰した。今男二人でわびしく並んでいるのは、熱い日差しが高い木々によって遮られている絶好の避暑地のとある廊下だ。今は放課後だから人通りはほとんどない。伊達の女もなまえも同じ委員会のため、一緒に待つ流れになったのだが、話を聞けば、俺たちの付き合いとは全く異なっているらしいことが分かった。


「……俺ァ、好いてる女の悪口を言うなんてお前ェの気が知れねぇや。」
「うっせ。お前ほどあけっぴろげになれたらこちとら苦労しねぇんだよ。」


伊達は彼女とは所謂、喧嘩っプルというやつらしく、顔を突き合わせれば口喧嘩しているらしい。今日も、委員会終わるまで待ってると告げるのにひと騒動起こしていたらしく、なまえが二人の間に入り必死に止めようとしていた。


▲▽▲△

「お前なあ…!この俺が待っててやることにお礼のひとつやふたつ言えねぇのか!」
「べっつにあんたみたいに上からものを言う男に待っててもらう価値ないし!!」
「ちょっ……二人共…」
「んだと…」
「やんのかコラ」
「喧嘩はダメですっ」

「なーにやってんだ?」
「あっ元親くん!」

「なまえ、今日委員会らしいな?」
「あ、うん。」
「待ってる。終わったら連絡入れろよ。」
「えっでも悪いよ…遅くなっちゃうかもしれないし...」
「そうなっちまったときにお前を一人で家まで帰らせる方が心配なんだよ。」
「ふふ、…ありがと。がんばって早く終わらせるからね!」

△▼△▼


思い返してみても、あのときのなまえは可愛いすぎた。なまえの笑顔を思い出し、ひとりにやにやしていると、伊達に変な目で見られているのを感じたが、気にしないことにする。早く帰ってこねぇかな、という俺の願いが通じたのか、廊下の端っこから「元親くーん」という声と一緒になまえが姿を現した。


「おまたせ!元親くんの姿が見えたから直接来ちゃった!」
「お疲れさん。なにも走ってこなくても良かったんだけどな。」

俺が笑いながら、頭を軽く叩いてやると、なまえは少しばかり顔を赤らめて、だって元親くんが待っててくれてるから...と言った。なっ、可愛いだろ?と伊達を見ると、確かになと首をすくめられ、そのまま俺たちに背を向けて歩き出した。多分女を迎えにいくんだろう。


「伊達くん!あの、教室にいると思う!」
「お前ぇもちったぁ素直になれよ!」
「ふん、わかってる。」


伊達を見送ったあと、歩き出してしばらくして、なまえが立ち止まり、「待っててくれたお礼をする」と言い出した。かがんで、と指示された通りにすれば、なまえの唇と俺のが触れ合った。

「なまえ...」
「自分からしておいてなんだけど、ちょっと恥ずかしい。」


ちょっとという割に、顔が真っ赤になっているなまえが本当に可愛いと思った。


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title 僕の精
なんだこの話...




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