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なんなんだろうこの状態は…。私に馬乗りになって超至近距離に顔を近付けるアマイモンさん。口の中の棒つきキャンディが、がりっと噛み砕かれる音がした。


「あ、あの……」

「はい?」

「背中、痛いし……近いです、」


思いきって言いたいことを言ってみれば、アマイモンさんはああ!と何かに気づいたようにピン!と人差し指を立てた。そして何を思ったか、私をベットに放り投げた。


「ふゃあっ!な、何す…」


いきなり放り投げられて私はベットの上で二、三回跳ねる。ベットが壊れたらどうするんですか!とちょっと強めに怒鳴れば、アマイモンさんは悪びれる様子もなく、そしたらボクのベットで寝ればいいですと言ってのけた。


「そんなこと出来るわけが……というよりアマイモンさんってベット持ってるんですか?というより悪魔って寝るんですか?」

「持ってません。寝ません。」


私の率直な疑問に対して、アマイモンさんはとても簡素な返事を寄越した。そして私の目では追い付けないスピードでまた先程の体制に戻ってしまった。棒つきキャンディの棒もいつのまにか無くなっている。もう何を言っても無駄だと悟った私は黙ってアマイモンさんを見つめる。アマイモンさんもしばらく黙っていたかと思うと、いきなり、


「なまえの唇をボクに下さい」


と、おっしゃられた。…は!?その言葉の意味を理解した途端に燃え上がるかの如く私の体温は上昇。きっと顔も真っ赤に違いない。そんな私を他所にあんな大胆なことを言ったのに、アマイモンさんの顔色も表情も一切変わらない。やっぱり子供の私をからかってるんだ…アマイモンさんは悪魔だし、こんな少年のような容姿と中身をしているけれど、きっと私よりウン十年、下手したらウン百年年上だ。そう思ったら急に悲しくなってきて、私はアマイモンさんから目をそらした。


「か、からかわないで……っ。」

「からかう?」

「だ、だって……んっ!?」


私が理由を言おうとしたら、アマイモンさんの右手が頭の後ろに、左手が肩に配置され、私の唇が塞がれた。もちろんアマイモンさんのそれで。一瞬で離れたけれど、ひんやりした感覚が、唇に残っている。


「なっ、なっなっ…き、す…!?」

「はい、キスです。」

「な、んで?」

「なまえが哀しそうな顔をしてたので。それと、ボクはなまえのことならいつでも本気ですよ。」


ボクを信じてくれないですか?なんて、逆にアマイモンさんが哀しそうにするものだから、さっきのキスで早鐘を打っていた心臓が収まらなくなって、思わずアマイモンさんを抱き締めた。


「なまえ…?」

「信じ、ます。だって、私、アマイモンさんのこと…すき、だから。」


すると優しく抱き起こされて、きっと力の入れ具合に細心の注意を払ってるんだろう、ゆっくりと私の背中にアマイモンさんの腕が回った。そして耳元で響くいつもより甘い声。



「今日からなまえは全部ボクのものです。」



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title僕の精
アマイモンが止まらない


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