ピンポンパンポーン
私が高校三年生になって何度この音が私たち兄弟の為に鳴っただろう。耳にタコとはこのことか、と私はため息をついて立ち上がる。クラスのみんなももう慣れっこで、いってらーとか、停学は免れてこいよーとかそんな別れの言葉が私の背中を追う。
教室の扉を開けたら、ほら。
「長曽我部なまえ、元親、来なさい」
もうクラスも場所も呼ばれないことに苦笑いした。
途中で元親と偶然合流。あんた何やらかしたの?…なにもやってねーよ、だったら呼ばれないわよ!と言葉を交わして教育指導室に入る。
「またぼっこぼこにしちゃったのか〜」
「…弱ェくせに喧嘩吹っかけてくる奴が悪い」
「あんたねぇ〜って…まあそれもそうか、」
「……………」
「でも今回はなんか訳がありそうね?」
「ね、ねぇよ」
「うそ!ねーちゃんはちかの眼見ればなんでも解るんだから。」
じっと、見つめるとちかはすぐにそらしてきた。両頬を掌で挟み込んで無理矢理こちらを向かせる。真っ赤になったちかは、やめろよ!と嫌がるけど全然本気じゃない。
「正直に言わないから、ちかのおもちゃ全部棄てちゃうから!」
「なっ…!ってかあれはおもちゃじゃねえ!」
本気だよ〜?と脅しをかけるとちかはふうっと息をはいた。
「姉貴を襲う、って脅してきやがったから。」
「え?」
「あいつら、なまえを傷付けるつもりだった。だからそのまま返すわけにもいかなくなったんだよ…!」
「ちか…そか、そうだったんだ…」
「そんだけ、……棄てんなよ。」
照れ隠しなのか急に早足になったでっかい弟のでっかい背中に思いきり抱き着いた。
「なっ!?なまえ!くっつくな!」
「やだあっ!もうちか大好き!」
わかったわかった!と引っぺがされたけど、私のにやけはずっと止めることができなかった
私の弟は問題児でどうしようもありません。
しかしでっかい可愛くて優しい弟です!
(今日さ、ちかの好きなもの作るね!)
(おー)
(うれしい?)
(…おう)
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アニキじゃない
アニキもいい(^q^)