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※3Z山崎


明日の部活はオフ。という内容が書かれたメールが部長から連絡網で回ってきてすぐ、俺は携帯のアドレス帳を引っ張り出してきて、なまえちゃんへの発信ボタンを押した。今考えると恐ろしいほどの行動力だったと思う。でもその時の俺はとにかくなまえちゃんに電話しなきゃ、という気持ちでいっぱいだった。今日の放課後話したときに、なまえちゃんも『明日は部活休みなんだけど急に入った休みだから、なんにもすることないや。』といつものふにゃりとした笑顔で言っていた。だからきっと出てくれる、そう思ってかけたけど、呼び出し音が鳴っている間、突然じゃ迷惑かな、とか、もう予定を入れちゃったかなとか、電話をかける前に気にすることを考えていた。


「はい、もしもし」

「なまえちゃん?あ、お、俺!山崎退だけど!」

「うん、急にどうしたの?」


緊張のせいでなまえちゃんの携帯の画面にも俺の名前が表示されているのだということをすっかり忘れて、大声で名前を名乗ってしまった俺。なまえちゃんのくすくすと笑う声に顔に熱が集まるのを感じた。でも、優しく続けられた言葉に俺はひとつ深呼吸をした。言いたいことは決まっている。


「あああ、あ明日、お…俺と、デートしてくれませんか!?」


実は俺となまえちゃんは恋人だ。二週間前に席が隣になったときになまえちゃんが告白してくれた。俺も三年生で同じクラスになってから、なまえちゃんのことをずっと見てたから、もちろんお願いしますと返した。告白されたのは嬉しかったけれど、男として、自分から告白できなかったことを少し申し訳なく思っている。実際、なまえちゃんは告白の途中で泣き出してしまったのだ。後から聞いたらそれは緊張のせいだったみたいだけれど。でもそのあとはお互いに部活が忙しくてなかなか二人の時間は作れなかったのだ。


「え、わ私でいいの…?折角のお休み、なのに。」


電話越しでもなまえちゃんがあたふたしているのが分かる。自然に顔がゆるんでしまうのを感じながら、折角の休みだからこそ、なまえちゃんといっしょに過ごしたいんだ。そう伝えることができたならなまえちゃんはどんな表情をしてくれるのだろうか、とそう思った。


僕が君を惑わした



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title僕の精

再アニメ化おめでとうございます!ザキはヘタれた男前だと信じてる。



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テーマ「人外ファンタジー」
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