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私に与えられたミッション。『木吉くんから提出プリントを回収すること』いくら私が国語科の係だからといって…こんな仕事を言いつけるなんて……。私が木吉くんにずっと片想いをしていると知っての狼藉かっ!心の中で先生を呪いつつ、体育館に向かってみる。近付くと大きくなるボールが床で弾む音に、バスケットシューズと床が擦れて発する高い音。つめたく薄い扉の向こうでは木吉くんが一生懸命練習してるんだ…!そう思うと馬鹿みたいに心臓が高速で働き出した。

「む、無理だ…!」

私にはこの扉を開けることは出来ないっ!と一旦扉から離れて呼吸を整える。そうだ誰かが前、バスケ部って後半自主練なんだって!そのときなら伊月くんにタオル渡せるかなー!ということを話していたのを思い出した。
じゃあ…私はその自主練習が終わるのを待とう!どこまでもチキンな私は、その子のように自主練習の場に顔を出すことすら緊張で出来ないのだ。本でも持ってきて読みながら待っていよう、と思い教室に向かって歩き出す。(その本の内容なんて頭に入ってこないことは百も承知だけれど。)すると勢いよく開いた扉。びっくりして素早く横によける。


「っだー…きっついな……」

「今日はむしむししてっからな…」


ばたばたと出てくるバスケ部員だと思われる男の子たち。私が居ることに若干の不審さを感じつつ横を通り過ぎていくのが分かる。


「あれ、みょうじさん。」


いきなり呼ばれたことと、私を呼んだ人物が声ですぐ理解できたことで、どっきんと心臓が大きな音を立てる。


「どうしたこんなとこで。」

にこにこと屈託のない笑顔を振り撒いているのは紛れもなく木吉鉄平くん。


「な、なんでもないっ!……や、やっぱある!プリン、ト提出してください!」

「プリンと亭主?」

「バカ、プリントだよ。」


聞き間違えた木吉くんの隣で眼鏡男子が訂正してくれた。それを聞いて思い当たったのか、急いでもってくるから待っててくれ!と姿を消した。


(よ、よかった…伝えられて、次は、部活頑張って!って言いた……言えたらいいな…)


頑張って、頑張って、頑張って、と口の中で繰り返す。


「みょうじさん!すまん!」


走って戻ってきた木吉くんに手渡されたプリント。大丈夫という意味で軽く頷く。


「本当にごめんな…手間かけさせて、じゃあ俺練習あるから。」


「あ、あの!(言え!私!)」

「ん?」

「えっと…(頑張れ私!)」

「バスケ、頑張ってね!!(い…言えた!)」




プラスチック・ラブ



予想外に大きくなった声に木吉くんは目を丸くしたあと、あの太陽みたいな笑顔を見せて、おう、ありがとなっ!と言って体育館に戻っていった。それだけで私のこころが嬉しさと幸せで満たされてしまうのだから木吉は罪な人だ。




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titleにせもの
木吉はみんなの嫁だっ!



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