短いおはなし 2013 | ナノ

※書いてる本人も訳分からない話なんでご注意


 ううう…と、オレのベットの横、床の上に所謂体育座りをして唸り声を上げるなまえをちらりと見遣る。何度帰れといっても帰る気なんて更々ないらしいなまえの様子を確認して、オレはため息をついた。いつまでお前の唸り声に付き合っていりゃーいいんだ、とヘッドホンに手を伸ばす。女が困っているのに、何もせず、帰れと急かし、おまけに声が聞きたくないからとヘッドホンを装着しようとする男の部屋によく留まろうとするもんだ、とアバッキオは他人事のように思った。


「今日は絶対帰らないもん…」
「『帰らないもん』じゃねぇーよ、」


 この部屋に来てから、帰らないの一点張りのなまえは、理由を聞いても、まったく答えようとしないため、オレのイライラは既に最高潮に達していた。しかし、女相手に手を上げたり、実力行使でつまみ出すなんてことは流石にできない。そこで、オレは発想を切り替えて、自分が出て行くということを考えついた。どこかバールにでも入って1時間程度時間を潰せば、きっとこいつも自宅に帰っているだろうと思ったのだ。わざわざ自分の部屋から出なきゃならないことに多少、納得いかないものがあるが、ちょうど一杯引っ掛けたかったところだしな、と自分に言い聞かせる。


「オレは出掛ける」
「えっ!」
「じゃあな、」
「ま、まって!」


 そうと決まれば、と早速行動に移したオレは、ドアへと向かう。すると、腰のあたりに衝撃が加わった。なまえが俺の腰にしっかりと手を回して抱きついていたのだ。


「っおい!何やってんだ」
「アバッキオ、行かないで…」


 なまえの声は、小さくではあるが震えていて、そしてまた、アバッキオに巻きつく腕と背中に張り付いたなまえの体躯は、驚くほど冷えている。なまえにそこまでされて、突き離せるほど、アバッキオは冷徹な男ではなかった。


「……理由も言わずオレの部屋に居座り、オレの行動すら制限するとは、この国の女はいつの間にこんなガキになったんだ?」
「だ、だって…」


 オレの皮肉に、理由言ったら絶対笑うもん…と言い返しながら、背中に顔をうずめるなまえ。さっきから背中がこそばゆくてたまらない。いい加減にしろ、と引き剥がしてみて、なまえの表情を目の当たりにして、ギョッとした。


「な、なんで泣いてんだ」
「う、」
「…あークソ、もうここから出てかねえし、無理やり追い出したりしねえから、」


 どうしたらいいのか分からないまま思わず出てしまった手を、ゆっくりとなまえの頭に乗せる。それだけでも安心したのか、なまえの震えは次第におさまっていく。怒らないでね、と前置きしたなまえは、ぽつりぽつりと理由を話し出した。アジトに行ったらナランチャとミスタがいて、一緒に映画を観ようぜと誘われ、特にすることもなかったなまえは二つ返事で承諾した。映画が始まってから気付いたが、それは俗に言うところのホラー映画で。観るのをやめようと思ったのだが、ナランチャとミスタに「ギャングのくせにこんなものが怖いのか」と喧嘩を売られ、それを勢いで買ってしまったという。最後まで観ることは観れたのだが、観終わったあとからどんどん怖くなってきたというのだ。


「…ンだそれ…」


 オレは怒るというよりは、呆れてものが言えなかった。馬鹿らしすぎて、なまえを追い出すのも、バールに出掛けるのも怠くなったオレはベッドに横になる。なまえが不安そうにこちらを見ているのは分かっていたが、何か優しい言葉を掛けてやろうという気にはなれなかった。


「…なんでオレの家にきた、」
「え?」
「他の奴らのトコでもよかっただろうが」
「………アバッキオじゃなきゃやだ…」
「オレじゃなきゃならないって理由は無いだろ、フーゴとか、ブチャラティ、気に食わねーが新入りだっている。」


 なまえの言葉の意味を理解したときに自分が平静を保っている自信がなかった。なんでこいつは、困るといつもオレを頼ってくるのか、オレの姿を見つけた時にみせる笑顔はなんで他の奴らにみせるものと違うのか、そんな疑問と、自分のなまえへの気持ちはずっと前から心の奥深くにしまっておいた。こいつとオレはただの仕事仲間で、


「アバッキオがすきなの、そばにいたいよ」


 そんな言葉は聞きたくなかった。オレもなまえと同じ気持ちだったから。好きな女と2人きりで部屋にいて、何もしないで過ごすなんてできるような男ではないことを自覚している。


※ほんと意味不明ですみません。しかしせっかく書いたので貧乏根性で上げました。今度書き直すかもです。


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