2012短いおはなし | ナノ

※気分を害するかもしれません



センパイは私が好きなのは源田くんだよ、と震える声で言い切った。俺が先輩のことが好きなんだから、そんなこと問題でもなんでもないのに。キスしたときに俺の唇の裏側にセンパイの八重歯が当たって少し切れた。あーあ、健全な中1男子が夢にまで見た好きな人との初めてのキスが血の味だなんて、ちょっとダサい。でもまあ、センパイの唾液と混じった俺の血は、結構素敵な味がした。うまいとか、まずいとかじゃなく、素敵な味。


「センパイ、もっかいしてもいい?」


俺の問いかけに、センパイは涙をいっぱいに溜めた目を背けながら、さっきの呪文を繰り返した。意外とセンパイってめんどくさい方の人間だったんだな、なんて、センパイの本性を知って、俺のセンパイへの恋心は急激に温度を失っていくのが分かる。


「わ…たしが好きなのは、源田くんだから、こんなこと……しない、で」


またもやセンパイの口から弱々しく紡ぎ出された呪文。さすがにいらつく。ゲームの中で草むらを歩いていると出会ってしまう野生の生き物に、毒の粉を何度も連発されてる気分。野生の生き物って知恵がないから、覚えてる技を馬鹿みたいに繰り返し使ってくる。毒の粉を一度浴びた俺は、歩いていけば勝手に力尽きるのに、だ。


ワタシガスキナノハゲンダクン、何度目か分からない呪文を言い切る前に、俺はセンパイの声帯をつぶしてあげた。センパイ、知ってた?毒の粉を浴びた俺だけど、このたたかいに勝つことが出来て、ここから一歩も動かなければ死ななくて済むんですよ。だからセンパイの亡骸を抱いて俺は一生ここから一歩も動かない。やっぱり俺、センパイのこと、好きみたいだ。


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title僕の精

ポケ○ンです



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