2012短いおはなし | ナノ

「じ…承太郎くん…、あの、えっと……これは、ですね…」

しどろもどろになって俺を真っ赤な顔で見つめるなまえが身にまとっているのは、いわゆる世間一般で『ミニスカサンタコスチューム』と言われる服らしい。ポルナレフがニヤニヤしながら得意気に説明したその台詞が頭の片隅に残っていた。

「承太郎くん……怒ってるの…?」

なまえの不安そうな声が耳に入って、我に返る。今は、俺の部屋の壁に背を預けたなまえの前に俺が立ちふさがっている状態だ。なまえの質問に対して言いよどんでいると、なまえが不意に俺の学ランにそっと触れた。身長差により自然な上目遣いで顔を覗かれて、可愛いなコイツ…なんて絶対に誰にも読み取られたくない感情が俺を襲う。黙って立っている俺を見て怒っていると判断したのか、なまえは、しゅん、とまるで主人に叱られた犬のようにうなだれた。何故黙っているだけで怒っていると思われるのか…と内心、強面な自分にため息をつく。


「怒ってはいないぜ」
「ほんと?」


本人が言いきっているのにも関わらず、疑うなまえに苦笑をこぼしつつ、いつもと違う巻かれた髪に指を通す。不器用ななまえらしく、後頭部の方は真っ直ぐなままだ。俺に触れられた途端、あからさまに体を固くさせたなまえに愛しいなんて単純な思考が頭を支配する。


「でもな…こんな格好は俺の前だけにしておけ」
「え?なんで?ジョセフさんもポルナレフさんも似合ってるって言ってくれたよ?」


本当に分からないのか、首をひねったまま固まっている。その間に俺の視線は、大胆に覗かせた鎖骨と艶々と光る丸っぽい唇、赤い衣装から伸びた白い太股を巡っていた。じゃ〜ん、と急に現れたなまえを一瞬のうちに俺の部屋に連れ込むことが出来てよかったと切実に思う。こんな露出の高い格好を他の男になんか見せたくない。まあ、なまえの発言からするに、俺に披露する前に何人かには見せたようだが。


「分からないなら別にいい。この服も今日限定だしな。」
「そうだね〜クリスマスイブだけだね着れるのは。」

ちょっと残念、と言って笑うなまえの額に、ゆっくりとかがんでキスを落とす。途中で逃げられないように、もう既に右手はなまえの腰に回してある。

「じょっ…承太郎くん…」
「もう待てねぇよ、」

俺の台詞を聞いて真っ赤に顔を染めたなまえは、俺の胸に身体を預けた。さて、ベッドに向かうとするか。そしてなまえを抱き上げて一言耳元で囁いてやる。


「Merry Christmas、なまえ」





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