ね〜仗助ってばぁ、と俺の肩の上で甘えた声を出すなまえ。こっちは夏休みの課題に追われて後がねえってのによォ〜。必死でノートにシャーペンを走らせる俺を、何が楽しいのかニコニコと見つめているなまえは、もうとっくの昔に全ての課題を終わらせたらしい。手伝ってあげようか?と言われたが、彼氏のプライドもあって断った。まあ、なまえの目の前で課題に追われている時点でかっこつけることなんて出来てないんだけどよ…。時折恨めしそうな表情をわざと作って振り返ってやると、なまえは、キャッキャッと楽しそうに笑った。そんなくだらないやり取りをしていると、スゲー今幸せなんだな俺、なんて頭の片隅で思う。こんなふうに構う時間なんかねぇってのに、なまえが近くにいると、つい話しかけてしまう。これじゃあ、課題マジで終わんねぇな…。焦り出した俺に気づいたのか、なまえは俺の頭をポンポンと優しく叩いた。
「仗助、終わったら遊んでね?」
大人しくなって本を片手に椅子に座ったなまえは、ほんの少し寂しそうに見える。なんとかしてやれないかと、無い知恵を振り絞ること5秒。名案を閃いた俺は、早速クレイジーダイヤモンドを出す。なあ、悪いんだけど、俺が課題やってる間、なまえと遊んでてやってくれねーか?口に出さなくても伝わった俺の頼みにクレイジーダイヤモンドは大きく頷いてみせた。なまえはスタンド使いでは無い。…今のところ。しかし、何故か俺のクレイジーダイヤモンドだけは見ることが出来るらしい。承太郎さん曰く、今後スタンドが発現する可能性があるかもしれないらしい。ま、なまえにスタンドが発動したって、この杜王町に住む人たちに危害を加えることなんかする訳が無い。だから承太郎さんも、ほって置いているのだろう。
「あークレさんだ〜」
「遊んでもらってろ」
「やったー!わーい!クレさん、クレさん、何して遊ぼうか?」
読みかけの本をほっぽり出して、なまえは嬉しそうにクレイジーダイヤモンドに駆け寄った。なまえの笑顔の先にいるのは、自分自身のスタンドだというのに、少しばかり嫉妬してしまう。さっさと課題を終わらせるしかねーな、とため息をついて、俺はもう一度、シャーペンを握り直した。
*スタンドしゃべるオマケ
「クレさん、お姫様抱っこして〜」
「ドラ?」
「え?お姫様抱っこ知らないの?あのね、こうやって、女の子の膝の裏と、背中に腕を回して持ち上げるんだよ!」
「ドラ!」
「っておい!!彼氏差し置いていちゃつくんじゃねーぞテメェら!」
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テーマ「人外ファンタジー」
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