今走っている海では虹色の魚が見られるというのを食堂で耳にし、物知りのキラーさんに本当ですかと尋ねると、俺もその噂は聞いたことがあるな…という答えが返ってきた。
「わー、虹色のお魚さんかあ!見てみたいなあ!」
「はっ、そんなの噂にすぎねぇよ。」
私の隣のイスが引かれて、乱暴に腰かけたのはお頭だった。お頭はお頭なのに、時々私たちしたっぱと一緒に食事をする。お頭の部屋で一人優雅に上等なものを食べられるのに、だ。(キラーさんは何事も初心を忘れないためだとかで私たちと生活環境を共有することが多い)私がお頭って意外と寂しがり屋さんなんですか?と尋ねて、頬がちぎれるかと思うくらい、つねられ引っ張られたことは記憶に新しい。
「海はこんなに広いんですよ!虹色のお魚さんは絶対いますもん!」
頭から否定されたことが悔しくて、言い返すと、骨付き肉を豪快に食いちぎったお頭は品定めするように私を眺めたあと、ふん、と鼻を鳴らし笑った。
「例えいたとしてもお前みたいなガキにはみつけられねぇだろうよ」
……もう怒った。カッチーンってきちゃったよ私。お頭に笑われたあと、よそった朝御飯を全て混ぜて口の中にかきこむ。ぶつ切りにも程がある!と厨房に怒鳴りたくなるほど大きく切られた肉が喉につまりそうになったのを急いで水で胃に流し込んだあと、お頭に思いきり宣言してやった。
「絶対見つけてやりますよ!」
見てろよこのクソチューリップ船長!あっかんべーをしながらそう叫ぶと、青筋を立てたお頭がゆらりとフォークを空に浮かせたので私は慌てて甲板に転がり出た。ぜったいぜったいぜ〜ったい見つけてやるんだから!待ってろよ虹色のお魚さん!
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -