「彼氏が手を繋いでくれない。」
給食を食べながら不満を吐き出すと、私の前の席に座る半田が、食べていたコッペパンを吹き出しそうになっていた。うわ、半田とコッペパンってなんか合うなあ…なんの変哲もない無個性だからだろうか。無個性も極めると個性になるのか…なんて結構辛辣なことを考えていると、涙目になりながら牛乳を飲んだ半田が改めてリアクションしてきた。
「おまっ…お前らさあ…付き合って結構経つだろ?」
「うん、半年以上は経ったと思う。」
私の返答に半田は苦笑いを浮かべた。その一部始終を黙って観察していたマックスは、「スーパーデラックス超次元デリシャス完全ありえない例えだけど、もし半田に彼女がいたら、同じ状況になってたと思うけどね。」と毒を吐く。というかデリシャスって何、その例え別に美味しくないよ。半田は、口達者でその上器用なマックスに口で敵うわけもないのに、「俺だったら手は三ヶ月以内には繋ぐし!」と食って掛かる。「はあ、?三ヶ月で威張んないでくれる?せめて一ヶ月って言ってよ。」まあ、僕なら一時間以内だけど、とマックスは続けた。
「……」
「……流石マックス…。」
「でもさあ、正直な話、みょうじが彼氏と手を繋ぐとか…考えただけで今食べた給食をリバースしそうになるんだけど」
「え、酷くない?」
まさか私の方にまでマックスの毒が飛んでくるとは思ってもみなかったから、落ち着くために私は箸を一度置かざるを得なかった。半田がカウンターがクリティカルヒットしたな…と私に憐れみの目を向けて、背中をさすってくれた。やっぱ傷付いてるときに持つべきものは毒吐きマシーンのマックスじゃなくて、コッペパンな半田だわ。そう思ったとたん背中から半田の手が離れた。
「みょうじ、今なんか俺にすごく失礼なこと考えただろ。」
「……半田、エスパー?ま、『半田に』じゃなくて正確に言えば『コッペパンに』だけどね。」
「あ、僕なんとなくみょうじが考えてること分かったかも。」
「え、マックス教えろよ」
「やーだね」
×
「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -