いくら不良率120%の石矢魔でも、定期テストというものはやってくる。いつも以上にやる気のない男鹿くんをなんとか言いくるめて、テストに向けて勉強会をすることにした。しかも男鹿くんのお家で。…どうしよう緊張しすぎて勉強どころじゃないです。確かに彼氏彼女という関係ではあるけれど、いつも男鹿くんと古市くんと三人で仲良く過ごしてるだけで、それっぽいことしたことないし…。そんなことを思って軽くため息をつくわたしをよそに男鹿くんが引っ張り出してきたテーブルは二人で使うには少し小さいものだった。必然的に私たちの身体的距離が縮まるわけである。ドキドキしてるのわかっちゃうかも、とか顔が赤いのバレるかも、とか今日ちゃんとメイクしてきてよかった、とか乙女なことを考えながら教科書を開く。男鹿くんは一足早く問題に手をつけ始めたようで、既にむむむ、と唸っていた。
「あー駄目だ!わからん!」
「もう!? 」
教えてくれ、と男鹿くんに言われれば断れるわけもなく、私は国語の同じ問題集のページを捲る。国語ってまた…教え辛い教科だなあなんて思いながらポイントを指差していく。一応男鹿くんも真面目にうんうんと頷いて聞いてくれている。きっと分かってないだろうな…と思いながらも説明を続けていると、男鹿くんの相づちが聞こえなくなった。どうしたんだろうと顔を上げると、何故かわたしを見つめていたらしい男鹿くんとばっちり目が合う。わたしは一瞬で何も考えられなくなってしまった。も、もしやこの流れは……ちゅ、ちゅーしちゃおうZE!的なものなのでしょうか…!?私がドキドキしながら待っていると男鹿くんは、「なまえ…」とわたしの名前を呼ぶ。きっきたコレ!
「お、男鹿くんにならわたし…何されても…」
「髪邪魔じゃねぇ?」
「………え?」
「だから、髪そんな長かったら邪魔じゃねーか?」
「……」
で、ですよね〜!男鹿くんがお色気展開を持ち込むわけがないよね!…すこし…いや、かなりときめいてしまった私の心臓に謝ってほしい。
「なまえ、ここもわからん教えてくれ。」
「……ちょっとは自分で考えてくださいっ!」
「(な、なんで怒ってんだ…?)」
×
「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -