2011X'mas | ナノ




今日はクリスマス。日本ではアツアツでイチャイチャでウフフアハハンな恋人同士が公式で思いっきり愛し合うことが出来る日という感じで認知されているクリスマス。なのになぜ私は全身完全防備でこんな時間から公園に来ているのか…。それは目の前で朝のテンションとは思えない動きをしている綱海条介という一人の男のせいである。


「よっしゃー!雪も積もったし、合戦だな!」
「ぜったい負けないもんね!」


条介の周りに集まっているのは近所の子供たち。いつもニコニコと笑っていて明るい条介はお兄ちゃんみたいな存在で、みんなにとても慕われている。そんな条介から昨日の夜突然電話がかかってきて、「明日は1日明けとけよ!」と有無を言わさず私の日曜日の予定を指定した。もちろん彼女として一瞬クリスマスの甘いひとときを想像したわけだけれど、条介に限ってそんなはずないといい聞かせてきたら案の定近所の子供たちと雪合戦だもん。

ためいきをつきそうになったところで、私の周りにも何人かやってきて私の手や服を引っ張ってきた。なまえおねぇちゃん!僕たちの陣地はこっちだよ!絶対、綱海にーちゃんに勝とうね!そんな風に呼び掛けられて私もつい笑顔になる。そうだね、やるなら本気でやらなくちゃ!それに今日の条介には絶対負けたくないもん。よし!行こう!とみんなに応じてから、手を繋いで陣地へと急いだ。



……とまあ、ただの遊びの雪合戦に勝ち負けなんかつけられるわけもなく、お昼の時間が近付いてきたので白熱した闘いは幕を下ろした。それでもまあ、満足したみたいで、またやろうね、なんて言いながら公園をあとにしていったみんなを私と条介は見送った。あれ、午後は遊ばないのかな…なんて思っていたら条介はそれを見越したかのように「あいつらに俺たちは午後は遊べねぇんだって伝えといたからよ。」と言った。私が見返すと、「午後はデートするだろ?」と笑う条介。


「え、あ…うん?デート?」
「お前忘れてんのか?今日はクリスマスだぜ?」
「わ!忘れてない!だって…条介と二人で過ごしたかったから…!」


思わず声を張り上げると、条介は一瞬、目を大きく開いて、嬉しそうに笑った。そして、まず着替えてきて飯食いに行こーぜ!と言いながら私の手を取った。条介が手をつないできたことにものすごくびっくりしていると、「お前があいつらと手繋いでるの見てたらちょっとだけ嫉妬した」と、条介は少し恥ずかしそうにカミングアウトする。


「なまえ、メリークリスマス!これからもよろしくなっ!」
「…うん!」


いつも私を笑顔にしてくれて、来年も、その先もずっとクリスマスを一緒に過ごしたいと思えるのは結局、条介だけなんだよね、と思いながら繋がれた手に力を込めた。



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