2011X'mas | ナノ




今年のクリスマスパーティーは23日にすることになった。何故なら、24日はリュウジくんの試合があって、25日は士郎お兄ちゃんとヒロトお兄ちゃんの試合があるから。三人に、ちゃんとした日にちにパーティー出来なくてごめんね、と申し訳なさそうに謝られたけど、私はみんなでクリスマスをお祝いして、歌を歌って、おいしいケーキを食べられることが出来るならいつだって嬉しいよ?と伝えたら、三人はすっごく嬉しそうに笑ってくれた。

そして23日当日。学校から帰ってきた私たちは早速クリスマスパーティーの準備を始めた。私が料理下手なことはもちろん周知のことなので、クリスマスケーキやごちそうはなんでも器用な士郎お兄ちゃんとヒロトお兄ちゃんに準備してもらって、私とリュウジくんの二人でわっかを繋げて作った飾りを使って部屋をパーティー仕様にしていく。


「リュウジくん背伸びたんじゃない?」
「まあね!」
「あんまり大きくならないでね〜?」
「え?なんで?」


可愛いリュウジくんじゃなくなっちゃうのは寂しいもん、と笑えばリュウジくんは小さな声でなにか呟いていた。「じゃあ今の俺はかっこよくなっていってるってこと?」何か言った?と問いかけると、リュウジくんの後ろから腕が四本にゅっと飛び出して彼をあっという間に羽交い締めにした。それはもちろん吹雪お兄ちゃんとヒロトお兄ちゃんで、二人ともニコニコしながら、抜け駆けは駄目だよ〜?なんて何故かリュウジくんをたしなめている。


「あ、そうだなまえちゃん、」


僕らからプレゼントがあるんだあ、といつものふにゃりとした笑顔で私に紙袋を差し出した。ありがとう!と受け取るとヒロトお兄ちゃんが開けてみてよ、とせかす。私はわくわくしながら丁寧に包みをほどいていく。すると中から現れたのは……


「ミニスカサンタ、コスチューム…?」


普通兄がこんなの妹に贈るだろうか…、と一瞬考えてあり得ないだろうという結論に至った。わくわくしていた数秒前の私に謝ってほしい。ゆっくりとお兄ちゃんたちの方に振り返ると士郎お兄ちゃんとヒロトお兄ちゃんはニコニコ…いや、にやにやして私を見つめていて、リュウジくんは罰が悪そうな顔をして目をそらした。


「うん、じゃあパーティーしようか!」


私はコスチュームをソファに放り投げて、何事もなかったかのようにパーティーをしようとしたけれど、そうはいかなかった。


「なまえちゃん、着てくれないの?」
「一生懸命選んだんだよ?」
「オ、オレは選んでないっていうか、反対したけど!」


士郎お兄ちゃんはうるうると瞳を振るわせてくるし、ヒロトお兄ちゃんは選ぶときの苦労話を延々とつぶやいている。そんなこと言ったって…私にあんなの似合わないよ…と漏らすと二人は声を揃えてそんなことない!と言い張った。その勢いにリュウジくんと二人で顔を見合わす。「リュウジくんもそう思うよね?なまえちゃんは絶対ミニスカートなサンタさん似合うよね?」「リュウジ、よく考えて?一年に一回しか着れない服なんだよ?」お兄ちゃん二人の言葉にリュウジくんは少しの間黙り込んで、


「オレも……やっぱ見たい。」


と言い出した。



「なまえちゃん…」
「なまえ…」
「……なまえねーちゃん、」


お願い着てっ!なんて三人に本気で頼まれて断れるわけない私はため息をつきながら首を縦にふった。なんだかんだ言って、シスコンでブラコンなんだよね。


「明日の試合もそれ着て応援しにきて」

と言い出すお兄ちゃんたちのことは無視した。


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