B4 | ナノ


ちょっとでも太陽が雲に隠れて日差しを遮ってしまうと、かなり寒く感じる季節になった。あいかわらずなんとなく屋上に集まってなんとなく一緒にお昼を共にする私たちも、今日はいつもよりみんな近い距離でもぐもぐと口を動かしていた。


「寒いっすね」
「だな〜俺寒いのは苦手だ!」
「秋だからな。それとミョウジ、女がそんな口調でしゃべるんじゃない」


わざと、はすっぱな言い方で切り出すと綱海先輩は大きくうなずいてそれに同意し、飛鷹さんは私の口調を注意した。飛鷹さんが女の子扱いしてくれるのが嬉しくて私がシャン、と背筋を伸ばして「はいッ!」と返事をすると、染くんがぶっと吹き出して、ほんと単純だなと笑う。


「そろそろカーディガンの季節だな」


ぽつりとあきおちゃんが呟いたカーディガンという単語に盛大に吹き出しそうになって私は慌てて口を押さえた。あ、あきおちゃんがカーディガン、って!「何笑ってんだクソガキ」私はあきおちゃんを無視して隣の染くんにカーデ何色?と聞いてみた。


「グレー」
「ほうほう、結構似合いそうですね」


頭の中で想像してみて、私は何回か頷く。綱海先輩は「おるはへーふだほ!」と口をもぐもぐと動かしながら主張する。何秒か考えて、その台詞が「俺はベージュだぞ!」と言っていることに気付く。


「わあ〜!綱海先輩絶対ベージュ似合う!」
「ふぁろ?」
「綱海…食べながらしゃべるな」
「飛鷹さんは?何色ですか?」
「お、俺か…?俺は…」


話を振られて飛鷹さんはうろたえる。…もしかして、ピンクだったりして!ピンクカーデな飛鷹さんも…すごくいい!私がわくわくしながら待っていると、返ってきたのは「…カーディガン着たことねぇ」だった。


「と、飛鷹さん…!なんてワイルドなの…素敵…!」
「ふんっ…テメーは飛鷹だったらなんでもアリなんだろ馬鹿女」


私が飛鷹さんのワイルドさに目をキラキラさせていると、あきおちゃんは機嫌悪そうに鼻を鳴らした。…仕方ないなぁ、あきおちゃんにも聞いてあげるよ。


「あきおちゃんは何色カーデ?」

「………………白」
「「「「ブフッ…!!」」」」
「おいお前ら一人ずつ並べ。目覚ましのビンタしてやるから」
「だっだって…あきおちゃんがしろって…ひー!お腹痛いよお!」
「黙れ。そういうお前は何色だよ。まさかピンクとか言うんじゃねーだろうな」
「ん?私は黒ですよ。」


私が速答するとみんなが声を揃えた。「「「可愛げねぇ…」」」「まぁ仮にお前がピンクカーディガン着てても可愛げなんかねぇけどな」さらに付け足された一言はあきおちゃん発信。私はいいけど黒カーディガン着てる子はたくさんいるから謝った方がいいと思う。そしてあきおちゃんは私にまず謝れ。


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久しぶりすぎて女の子の性格やらが迷子になってしまった。
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