こねた | ナノ

マックスが新しいゲームを買うと、これだから嫌だ。延々と新しく購入したゲームソフトのつまらないところや、気に入らないところを話すマックスを見て私は考える。でも、連日私にそのゲームソフトについて愚痴っているところを見ると、どうやらそのゲームはかなりのお気に入りらしいとみた。だったら誉めてあげればいいのに、と考えつつ、ちょっとひねくれてるマックスらしいか、と笑ってしまった。


「…何笑ってるの?」


笑っている私に気付いたのか、マックスは愚痴を中断させて訝しげに私の方を見ていた。なんでもないよ、と慌てて伝えると、ふ〜ん。と気のない返事を寄越したあと、黙ってしまった。私も特に話すことがなかったから、二人して黙って歩いた。それからしばらく歩いて、突然吹いた風が予想以上に冷たくて、私は思わず身体を縮こめる。


「寒くなってきたね」
「うーん、まだアイス食べたりないんだけどな」
「確かに。」


私が即座にマックスの言葉を肯定すると、目があった。二人して思わずにやりと笑ってしまう。「今から買いにいこっか。」考えていたことは同じらしい。だったら半田も、と言い出したマックスはきっと半田じゃなくて半田の財布が目当てなんだろうな〜と携帯をカチカチといじる彼を横目で見ながら考える。数分後現れた半田は、染岡を連れていた。やっと金がきた、と二人で半田に手を振ると、奢らないからな!と来て早々に釘を刺されてしまった。


「てか、染岡が一緒なんてめずらしー」
「偶然会ったから連れてきた。」


じゃあ四人でアイスだ!私が片手を突き上げると、マックスが「そのノリはない」と顔を歪めた。そのときはちょっとイラっとしたけど、結局半田のお金で買ったアイスが美味しくて、そんなことはすぐに忘れてしまった。秋がくる前にまた四人でこうやってアイス食べようねと私が言ったら、隣の染岡がもっと太るぞと笑った。それを聞いてマックスも、あの半田もそろって笑いだすから、本来なら怒るべき私もつられて笑ってしまった。
来年の夏もこんなふうに過ごせたらいいなあ、と控えめな大きさの入道雲を眺めながら考えた。
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