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私は生徒会の副会長を務めていて、会長とは放課後はよく一緒に活動してきた。会長はとても爽やかで、はきはきとしていて頼れる人で、女子からも人気がある。だから、私は時々嫉妬のたぐいのものを向けられることがあった。けれど、その度に会長は『ミョウジさんとは生徒会の良きパートナーなだけ』と、もし私が会長に恋していたら一瞬でその気持ちが粉々になってしまうような一言を公言していた。

でも私には咲山修二くんという片想いの相手がいたからなんとも思わなかったんだけれど。

でも、一週間前…ふたりきりの生徒会室で、会長に「ずっと好きだった。付き合ってほしい。」と告白された。返事は一週間後にくれればいいよ、と言われて、今日がその一週間後。


「ミョウジ、」
「っ!?」


生徒会室に向かう途中で、私を呼び止めたのは咲山くんで、思わず黙って咲山くんを見つめ返す。


「告白の返事…しに行くのか。」
「えっ…どうして知って…」
「…あの噂は本当だったんだな、」


どうして咲山くんがそのことを知っているんだろうと思いを巡らせていると、咲山くんがいつの間にか私との距離を縮めていて、私はそこで初めて自分の心臓がものすごい早さで鼓動を刻んでいることに気付いた。


「さっ咲山く…」


無意識に胸辺りの高さに挙げていた右手を咲山くんに掴まれて、咲山くんの方に引っ張られる。鋭い眼も、さらさらな前髪も私より少しだけ高い位置にある肩も男らしい手のひらも全部かっこよくて、目の前がちかちかした。


「ミョウジのことが好きだ。他の男に渡したくない。」


近距離で告げられた台詞は、私には刺激が強すぎて、私も咲山くんのことが好きです。とはとっさに言えなくて、代わりに何度も頷いた。どうやら会長の告白を断る理由を『好きな人がいるから』というものから『両想いの人がいるから』に変更しなければいけないみたい。


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会長ごめん

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