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「木暮くん木暮くん!どこ〜?どこにいるの〜?」


私が朝起きて一番にすることは、最近漫遊寺中からイナズマキャラバンの仲間に加わった可愛い可愛い木暮くんを探すことである。小さいものに目がない私にとって、少林くんがいない今、木暮くんの存在は癒しで、オアシスなのである。さてさて、そんなことをみなさんに説明している間に木暮くんの姿を発見!


「げ!?」
「み〜つけたっ!」


がばりと抱きつけば、小さくてふわふわで軽くて気持ちいい。あまりの可愛さにぎゅううう、と抱き締める腕の力を強めると、木暮くんは私の腕の中でじたばたと身をよじった。


「はっ離せよ!気安く触んなっ」
「じたばたしちゃって可愛い〜!!」
「ミョウジ…またやってるのか…。」


結局何をしたって可愛い木暮くんと戯れていると、一人の声がして、私と小暮くんで一緒に振り返る。そこには複雑そうな表情を浮かべ、腰に手を当てて立つ風丸くんがいた。


「風丸くんおはよう!」
「…あぁおはよう。」
「それっ!」


私が風丸くんとの朝のあいさつに気を取られている間に、木暮くんは私の腕を抜け出し、あっかんべーをしながら走っていってしまった。あっかんべーする木暮くん……可愛すぎる!!


「あーあ、行っちゃった…。まったく…照れ屋さんだなあ、」
「いや…あれは照れてるんじゃないと思うぞ……。」
「そういえば風丸くんはなんでこっちに?」


みんなが練習する場所は確か反対側だったはず…と昨日イナズマキャラバンを停める際に監督が指示した方向を思い出しながら風丸くんに尋ねる。すると風丸くんはぎくっと体を固まらせてから「え〜…と…」と視線を四方にさ迷わせた。その不審すぎる動きに、釘付けになりながら風丸くんの返答を待つ。



「……最近、その…だな…。ミョウジは木暮を気に入ってる、だろ?」
「うん、そうだね。」


あの可愛さは犯罪だと思う。そう付け加えたかったけれど、真面目な風丸くんのことだから「はん…ざい…?」と首を傾げそうだったので私は心の内に留めておくことにした。


「だから……気になって…。」


そこまで言うと風丸くんは赤くなってうつむいた。そっか…風丸くん…そんな赤くなるほど気になってたんだ…。まるで乙女のような風丸くんのいじらしさに私は思わず風丸くんの手を両手で取った。


「っミョウジ!?」
「可愛いって思ってくれてる…ってことでいいの…かな?」
「!………もちろんだ。」


私の目をまっすぐ見つめて、今度はうつむくことなく「ずっとすごく可愛いって思ってたし、今でも思ってる」とはっきり伝えてくれた。私…すごく幸せだ。だって、木暮くんの可愛さをこんなに解ってくれる同士がすぐ隣にいたんだもん!!


「さあ風丸くん!こうしちゃいられないわ!私たちの可愛いオアシスを今すぐ二人のこの腕の中に閉じ込めて愛で合いましょう!!」
「なっ……ちょっ…なんか違っ…」
「木暮くーん!この愛されマスコットめ〜!風丸くんも虜にするその可愛すぎて犯罪な姿を見せとくれ〜!」
「はん…ざい…?」


やっぱり首を傾げた風丸くんに思わず笑みがこぼれる。早く木暮くんをみつけよう!と風丸くんの手を握って駆け出すと、顔を真っ赤にさせた風丸くんが手を握り返してくれた。やっぱ風丸くんも早く木暮くんを抱き締めたいんだよね!可愛いなあ!







omake
秋「あはは…ナマエちゃん…」
春「風丸先輩…可哀想すぎます…」
夏「ま、理由はなんであれ手を繋がれて嬉しそうではあるわね。」
春秋「確かに…。」
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