belze | ナノ

「ねぇねぇねぇー」

「だーかーらーぁっ!」

掴まれていた腕を振りほどく。さっきから異様にしつこいこの男。石矢魔高校の人くらい不良で怖かったら、走って逃げるとか股間蹴るとかするけど、彼は本当にただナンパ目的の男っぽかったので少し舐めていた。



先生!ハート泥棒がここにいます!



(あ、あれ…いつの間にか違う道に…)


「はい、お疲れ様」

「は?」

ナンパ男がすすすっと離れて、かわりにぞろぞろっとお決まりのパターンでいっぱい出てきたわけですよ、男の人が。…逃げなきゃ、だよね。


「ホントお疲れで〜〜すっ!」

びしっと敬礼で決めて、彼らに背中を向ける。逃げるが勝ちです!

「待て女ァ!」

この状況で待つ女の子なんていないわ!と心の中でツッコむ。でもやばい息上がってきた。


どんっ


「いっ」


曲がり角で何かにぶつかって尻餅をつく。見上げたらでっかい男の人。…万事休すってこのこと?なんて思ってたら手を延ばされた。何も言わずに手をあげるタイプかこの人!!


「…大丈夫か?」

「え?あ…はい。」

手は殴るために差し出されたわけではないらしい。流れでその手に手を添えると握られてすごい力で立たせてくれた。

「ありがとう、ございます…」

お礼の途中で後ろからさっきの足跡。


「…随分たくさんお友達がいるんだな」

「お友達じゃないですよ!」

「いやいや今から交流するんでしょ?俺達と」


会話が噛み合わないまま、誰かに腕を掴まれる。


「ちょっ!やだ!はなしてっ」

キモい男の顔が近付いてきて目をつむると、すごい破壊音がひびく。

「…え?」


ぽかんと見上げるとさっきぶつかった優しい人しか立っていなかった。


「……」

「あり、ありがとうご、ざいます…」

「いや、」


そのまま立ち去ろうとする背中に声をかける。


「あ、の!…何かお礼を…!」

「礼なんていらない。…次は気をつけるんだな。」


結局それだけ言って去ってしまった。


「…かっこよすぎる」


お礼はいらないと言ったって、じゃあ一瞬で奪われた私のハートは、どうすればいいのだろうか。




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結構前に書いてあった話。なんか言葉が足りな過ぎて状況がよくわかりません( ´,_ゝ`)
ただこれだけは言おう!
陣野さんは素敵だ!!!


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