はあーと息を吐いたけれど、一ヶ月前とは違って白くはならなかった。
「あったかくなってきたんだねえ」
「そーか?」
まださみーんだけど、とマフラーに顔を埋める辰巳。いや、でもあなた学ラン腕まくりしたままだからね。と心の中でつっこみながら黙っておく。
「私冷え症だからやばいよー」
「冷え症…そういや姉貴もンなこと言ってたな。」
「冷え症はいつの世も女性の敵なのよ!」
「そ、そーなのか」
ガッツポーズで熱く語る私を見てベルちゃんも何故か拳を突き上げた。
「あ!じゃあ冷え症対策の為カイロを買いに行こー!」
意気揚々と歩き出した私を辰巳の手が引き止める。
「いい、俺がお前のカイロになるから。」
そう言った辰巳に手を絡み取られる。
「え……えっと、……」
固まってしまった私と何も言わなくなった辰巳。じわりじわりと手に温度が戻ってくるのだけがリアルに感じられた。
「黙るなよ」
「だっ、だって!辰巳が!」
「っは…顔赤、」
「もう!恋人繋ぎにしてやるー!」
握り方を変えてから、きゅ、と握り占めると、辰巳は一瞬だけ驚いた顔をした。
「…上等だ、こら」
手を繋いだだけなら片手しか温かくならないはずなのに、辰巳とつながってるだけで、指先まで感覚が戻ってくるみたい。
甘すぎて麻痺したの
-----------
titleサディスティックアップル
男鹿がこうしてくれるなら冷え症でもいいよね!!←