belze | ナノ

仕事でつまらないミスを繰り返してしまい、上司に嫌味をネチネチと言われたおかげで、今日の私は頭のてっぺんから爪先までブルー一色に染まった状態で、バス停から家までの道のりを歩いていた。


「はぁ……」
「ため息つくと婚期がまた遠退くぞ。」
「っ…!?」



結構近くから聞こえた声にびっくりして飛び上がると、いつの間にやら隣に並んでいる神崎くんの姿があった。神崎くんは近所に住むいわゆる893の家の子なんだけれど、まあふつーの不良くんと同じだ。893と言えどまあお隣さんとして、それなりに仲良くしている。



「びっくりさせないでよ神崎くん。ってか婚期とかお姉さんには禁句です!」
「はっ、男もいないくせによく言うぜ。」
「う……」


私がわざとらしくうつむくと、神崎くんは鼻で私を笑った。ひどいなあもう。私がそうつぶやいて、その後自然に一緒に家に向かう雰囲気になった。まあ、家が隣だから仕方ない。でも別に合う話題があるわけでもないから沈黙が続く。私が背中に変な汗をかきながら話題を探している間に、意外にもその沈黙を破ったのは神崎くんだった。



「……ため息つくようなことあったのか?」
「え?…まぁね…。」


詳しく話す気にはなれない私の気持ちが分かったのか、神崎くんは私の方をちらりと見たあとは何も聞かなかった。そういう所は分かってくれる繊細な一面も、実は神崎くんは持っている。


「明日も仕事だろ?」
「……うん。」
「なら踏ん張りやがれ。」


その一言と同時に、頬に冷たい何かを押し付けられた。受け取って見ると、神崎くんご愛飲のヨーグルッチだった。神崎くんを見上げて、なんか頑張れそうな気がしてきた!と笑顔で告げると呆れた顔をした神崎くんが単純な女だな。と言って笑った。

ストローをさすときは、明日はちゃんと仕事出来ますようにっていうのと、神崎くんと仲良くなれますようにってお願いしよう、と胸の中でひっそりと思った。



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