男鹿くんを見ていると、胸の奥の方がきゅんとして痛い。他のどの男の子を見てもこんなもの感じない。そんなときに、今私の隣を気だるげに歩く男鹿くんはやっぱり私の特別なひとなんだなあって実感する。 「ねぇ、男鹿くん。」 「あ?なんだ?」 手繋いでもいい?少しだけ男鹿くんの顔を覗き込むように聞いてみる。発言はもちろん、こんな仕草、男鹿くん以外にはしない。好きなひとの前で、少しかわいこぶってしまうのは女の子だから、ってことにしておこう。 そして男鹿くんは私から目をそらして、ちょっとだけ顔を赤くしながら私に手を差し出した。 「いちいち許可取んなくても、…いいに決まってんだろーが。」 男鹿くんの、私の手より、ひとまわり大きいそれにそっと手を伸ばすと、男鹿くんの方からちゃんと包んでくれた。喧嘩ばかりの男鹿くんの手はごつごつで、少しだけ痛い。でも、実を言うと、さっきから男鹿くんにときめいているこの胸の方が遥かに痛かったりしたりする。 「男鹿くんのこと……好きだなあ、私。」 「………。」 「ごめん。こんな彼女重すぎるよね。」 「もう慣れた。」 「…それどういう意味でしょう?」 私がそう問うと、俺もナマエが好きだっつーことだよ。と、男鹿くんが笑った。意味が分からないけど、でもすごく嬉しいからどうでもいいや。私も一緒に笑った。 一緒に沈めたらいいのにね ------------ title僕の精 ほのぼのって雰囲気はどうすれば出せるのだろうか。 ×
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