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噛ミングアウト

今日も、またいつもの仏頂面にヨーグルッチをぶら下げて、偉そうにソファに座る私の彼氏。バレない程度に観察してみる。覇気のないオーラに、高三とは思えない髪の毛の色。それをいうなら姫川もそうか。…いやいや、髪について語り出したら城ちゃんは外せないよね。高三男子がみつあみってお前……。私らが許しても世間は受け入れてくれないだろ。


「…というわけで、私の理想はさ、男鹿くんなんだよね。」
「はあ?」


突然口を開いた私を一はめんどくさそうに一瞥する。あ、今絶対まためんどくせーのが始まったとか思ったな。


「男鹿くんって喧嘩強いし。それに赤ちゃん育ててるなんて絶対いい子だよ。」
「………。」


喧嘩が強いと言ったときに一の顔が微妙に歪んだことに気づく。負けたのやっぱ悔しいんだなー。力の差は歴然なんだから、姫川みたいに卑怯な手使ってみようとか思わないんだろうか。まあでも、不意討ちとか卑怯なことしたって、一が男鹿くんに喧嘩で勝つなんてこと、地球の海と陸の比が入れ替わることくらい有り得ないだろう。
でもいつも真っ正面きって突っ込んでいく一が私は好きだ。たとえ馬鹿だと周りが思っていても。



「でも理想はやっぱり男鹿くんなんだよなー。」
「お前、脳内で考えまくって結論だけを口に出すの止めろ。」


こっちは訳わかんねーんだよ。と不機嫌な顔つきで一はパックを握り潰した。


「男鹿くんは年下で可愛いし、強くて頼れるし、若々しいし、髪は黒いし、私の理想の人に限りなく近いんだよ!」
「けっ…だったらオガのとこにでもさっさと行きやがれ。まあ、オガがお前のこと手におえるとは思わねーがな。」
「そう!それなんだよ!!」


嫌味たっぷりで返ってきた一の言葉に、私は座っていたイスから勢いよく立ち上がる。そんな私を見て一はびっくりしたのか、少し目を見開いた。


「ワガママで適当で気分屋な私の彼氏をつとめられるのは、一だけなんだと思うんだよね。」


そうでしょ?と笑いかけると、一は数秒の間固まった後、ふいっと目をそらしてしまった。


「当たり前だ。俺以外にその役がつとまるわけねーだろ。」



一が男鹿くんに、唯一勝っているのは、私を喜ばせる言動が出来ることかもしれない。




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title僕の精
男鹿が理想なのは私です←


omake

(でも男鹿くんに一度くらい…ナマエ!大丈夫か!?とか言われて抱き締められたいなー。)
(てめぇ…目の前でふざけなんなよ…!)
(いーじゃん!そんなこと起こりっこないんだから夢見るくらい!)
(よくねぇ!つーか思ってても口に出すんじゃねーよ!)
(ぶー!どーせ部屋で私以外の巨乳でエロいお姉さんたちにお世話になってるくせに!!)
(しかたねぇだろ男なんだから。)
(なによ!馬鹿!ぬ、抜くなら私で抜け!馬鹿!)
(は?………嫉妬、か?)
(…別にそんなんじゃないもん。)
((ちょ、可愛すぎるだろ!なんだこいつ本当にナマエか!?))


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