belze | ナノ

珍しく今日は虎くんのバイトがお休みだということを知らせる電話がきた。

「ほんと!?」
「おう、ナマエの行きたいとこに連れてくぞ。」


チャリだけどな、と言う笑い声に、じゃあ考えておくね!と私も返事をする。迎えにいくから、と何気ない口調で言ってくれて、虎くんの優しさに頬が緩む。おやすみ、とお互いに交わして電話を切った後、携帯の画面をしばらくぼうっと眺め、私はそのままベットに倒れ込んだ。


「久しぶりのデートだ…」


口に出したら、明日虎くんに会えるという実感が沸いてきて、嬉しさのあまり、お世辞にも広いとは言えないベットの上でごろごろと左右に転がった。(客観的に見ると高三でこの行動は痛いものがあることは承知の上である。)そのあと、部屋中にありとあらゆる服を引っ張り出して、明日の為のファッションショーを開く。
ご飯に呼ばれてリビングに行けば、目ざとい母は、私のわずかな変化にすぐに気が付き、明日デートかあ、とにやついた顔で言われてしまった。まあねと返せば、前に一度会った時に虎くんのことをものすごく気に入ったのか、母も英虎くんとデートしたい!とか言い出す始末。絶対だめだから!と釘をさして、私は明日のために早めに眠りにつくことにした。




◇◆



チャイムを虎くんが鳴らしたら、真っ先に母が飛び出していきそうだったから、私は玄関先で待った。しばらくして現れた虎くんに私は駆け寄る。


「ナマエ、待たせちまったか?」
「虎くん!ううん、そんなことないよ。」


なら良かった、と言ういつもの笑顔にきゅんとする。虎くんの笑顔は人を幸せにする力があると思う。つられて自然と私も笑顔になる。すると虎くんがじっと私の顔を見始めた。


「ど、どうしたの?」
「いや…ナマエの笑顔見るだけで、なんかいろんなことがどうでも良くなるな、って思ってよ。」
「どういう意味でしょうか英虎くん?」


難しげな言い回しに私は首をひねる。



「ま、ナマエが笑っててくれたら俺は大丈夫だ。ってことだな。」



さ、行くぞ。後ろ乗れ!と自転車にまたがる虎くんに、私だって虎くんが笑ってたら、全て上手くいくんだよってことを伝えながら自転車に乗った。今日のデートも絶対楽しい!私はそう確信した。



ふたり、すごいこと



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titleにやり
東条のキャラがいつまでたっても掴めないんだぜ!でも東条とデートしたいんだぜ!



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