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Q、ペンギ…佐久間がギャップを見せるとどうなるの?


「みょうじ!」


ババーン!という効果音が後ろについていそうな程の勢いで部室に現れた佐久間くん。私と向かい合って座っていた鬼道さんはあからさまに眉を潜めた。


「おはよう、佐久間くん。どうしたの?今日は随分早いんだね。」


私がそう声をかけると、口を開けたまま固まった後、佐久間くんは気まずそうに目をそらしてしまった。


「な…なんとも思わないのかよ!」
「え?」
「だ、だから!俺が珍しく早く来ること…!とか!」
「あ、うん。珍しいね!」
「〜〜っ!!この鈍感!」


訳が分からず、首を傾げていると鬼道さんが佐久間くんの方に振り返って、ちなみに俺はゴーグルない鬼道さんもかっこいいと言われた。とさっきあったことを誇らしげに報告した。それを聞いた佐久間くんはきっ、と私を睨み付け、もういい。と言って出ていってしまった。


「ど、どうしたんだろう佐久間くん…。」
「敵に手を差し伸べるのは癪だが…みょうじ、佐久間を追いかけてこい。」
「え!?でもなんて声をかけたら…?」
「あいつを見て思ったことを素直に言ってくればいい。」


鬼道さんに背中を押され、私は部室の外に放り出された。とりあえず歩き回って探してみようと思い足を踏み出すと、心の準備が出来る前に佐久間くんの背中を見つけてしまった。柱の影に隠れてそっとうかがうといつも堂々としていていつも自信に満ち溢れていて少し意地悪な佐久間くんとはちがって、肩を落とし、少し落ち込んでいる。なんか…か、可愛い…!!鬼道さんに思ったことを素直に言えって言われたし…よし!


「さ、佐久間くん…!」
「な、んだよ…ってみょうじ!?」
「怒られるかもしれない、けど!佐久間くん…か、可愛い!!」


頭撫でてもいい?とおそるおそる聞いてみると、佐久間くんは真っ赤になって、今日だけだからな!って怒鳴ってそっぽを向いた。



(可愛いって言われても…う、嬉しくねぇ!…………わけじゃねーけど…)



A、ギャップに気付いてもらえませんでした。しかし結果的に頭を撫でてもらえて可愛いと言われました。




 
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