背伸びせずに行進曲

月英さんに荷台作ってもらって、子供と老人さんとか、そういう方はできるだけ乗せてく。ガタガタ揺れてアレだから床に布敷いてごまかす大作戦!
張遼さんが来るであろう辺り(多分)に呂布置いてドンパチやってもらおう作戦!
陳宮と諸葛亮で弓とか降ってくる前に工作兵ボコろう作戦!
関羽に船をおねがいしよう作戦!

「……あのー、軍師ーズさん?」
「はい?」
「私は?私は何をするんですー?」
城から抜けながら、隣の二人に聞く。
これによると私先を馬で走ってるだけなんですけどー?お荷物じゃないですか?
自分を指して必死に主張すると、やれやれと言うふうに首をふられた。
「なにもしないのが仕事です」
「…りぴーとあふたーみー」
「……何も、何もしないことが大切なのですぞ」
思わずおもいっきり不服そうな顔をしてしまう。
ぐぬぬ、と言葉を探して探して、結局駄々をこねた。
「…絶対嫌ですよ…!」
「貴方は死んではなりません」
「死にませんよー!……死にません」
「……今回ばかりは、どうかお聞き入れ下さい」
もしもを警戒するのが私達の役目です。と、諸葛亮は私を見る。
ああ、と思わず苦笑した。
「…そんな言い方はずるくないですかねー?…わかりましたよ」
はぁ、と肩を落とす。
思わず呟く。
「……肉まん食べたい…」
「りゅ、劉備殿…?」
引きつった顔の陳宮が、言葉を続けた。
「今なんとなくしりあすな雰囲気だった気がするのですが、え?」
「…持ってきましょうか劉備殿」
「んー、いや、人間だれにでも欲はあるものですよー?」
今のは食欲です、と言葉を添える。
「あ、お気遣いありがとうございます諸葛亮さん。大丈夫ですよー!」
もってますから☆、と懐から肉まん出して、口に入れる。
「ん、美味しい」
「こういうのをふりーだむと言うのですな…?」
「そうですね、おそらくは」
「まーまー、食べます?」
あと2つありますけど、なんていうと、要りません、と突っぱねられてしまった。
なら、と後ろを振り向いて声を張り上げる。
「えー、兵士の皆さーん!」
「はい、何でしょう!」
「肉まん食べまふ?」
口に入れながら言ったせいで少々間抜けになってしまったが気にしない。
「…は?」
「持ち合わへ後5つなんですへふぉねー?」
絶賛困惑中の小隊長くんにひょい、とセットの袋を投げる。
小隊長くんがなんとかキャッチしたのを見届けると、再び殺風景な景色に目を向ける。
今食べるもよし、とっとくもよし、分けるも、独占するも、譲りあうも奪いあうもよしですよー!
…あ、口の中に砂入った。
「じゃりじゃりする…」
「馬鹿ですね」
「馬鹿ですな」








進めるだけ進んで、日が落ちた。
解っていたけどおそいですねー!いや守り通す自信はあるんですけど。
馬に乗ってたせいで腰がいたい。手を当ててぐっと伸ばす。
……我が子の様子でも見に行こうかな!
そ、と簡易テントの中を覗き込む。
私じゃ手が回らないところをいつもお世話してくれる女官さんとー、可愛い息子が中にいた。

「いつもありがとうございますー!」
「そんな、私が劉備様に感謝を告げるべきですのに…」
「謙遜しなくても」
阿斗を抱き上げて、笑う。
「ほら、こんなにかわいく育ったのも貴方や周りの方々のお陰です」
ああかわいいかわいい。
キャイキャイとはしゃぐ阿斗を恐る恐る支えて、思わず言った。
「自慢してきていいですか…!」
我が子まじエンジェル!
あ、淵ジェルじゃないですよ。
「ふふ、勿論です」
「はい…!」
できるだけ揺らさないように早足で歩いて、あたりを見渡す。
あ、趙雲だ。
……いや此処で趙雲ってもの中々に…ねぇ?
ん、まーいいです!
「ちょーうんちょーうん!」
「…どうされましたか劉備殿?」
「阿斗可愛いだろう!」
笑顔で阿斗を差し出す。
阿斗が趙雲に手を伸ばした。
「か、かわいいですね…!」
おずおずと趙雲が手に触れる。
…あふれでるマイナスオーラ…!
「だろう?可愛いだろう?…趙雲は結婚しないのか?」
趙雲の顔が朱に染まった。
「っな、そんな…!妻など私には…!」
「…ふ、趙雲面白い…!」
「面白がらないで下さい劉備殿!」
「いや、実際面白いですって……!」
笑っている阿斗を撫でながら笑う。
……二人が危険な思いをしなければいい。
逃げるように戻った趙雲に手を振りながら、ふと思った。




。。。。。。。。
劉備成代の口調の使い分けは適当ですね。
性格的に分けそうじゃないな、と思ったので。
ただ大勢の前で公の発現するときはだいとくちょうな気がします。
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