もう少しだけ待っていて

やばいやばい。ほんとに来ますよ曹操!
あの人きらいじゃないんだけどなー。でも死にたくないからなー。
んー、明日に逃げる予定なんだけど、やっぱり一矢報いたい、よねー!
勿論新野で叩く予定ではあるけど、それだけってのもなんか。
「手筈は、手筈は整いましたぞ!」
上機嫌にくるくると回る陳宮が言う。
さすがに緊張しながら頷くと、後ろから張飛が近づいてきた。
「兄者!」
「ん?どうした翼徳?」
「民がよぉ……」
困ったような顔で、場外を指す。
「米とか野菜とか、連れて行ってくれるお礼にくれるって言うんだよ」
「…Why?」
民の皆さんお人好しっていうかえーっと女神?エンジェル?自己犠牲心の塊なんじゃないですかねこれ?
「……そうだ!炊き出ししよう!」
ポン、と手を叩いて笑う。
「炊き出し、炊き出しですかな?」
「そうだ!……ダメか?」
「だめではありませんが……」
「よしじゃあやろう!」
城の階段を駆け下りて、門へ向かう。
後ろで陳宮達の呆れた声が聞こえたけど無視だ無視!


「劉備殿は案外、案外お人好しですなぁ」
「おうよ!言動があんなだからわかりにくいけどなぁ、大陸一のお人好しだと思うぜ」








こっそりと覗き見て、思わず顔が引きつる。
……予想以上の数だ…!
想像の三倍、ですかね?
連れて行ってくれるお礼って何君たちが着いてきてくれたんでしょー?
いやもう君たちお人好しすぎんよ…!

「みんな、」
「劉備様!」「劉備様、これを使って下され!」「劉備様、」「劉備様ー!」

おおう。……あかん緊張してきた。非情に今更だけど。
「申し訳ないな、ほんとうにありがとう」
とたん大きくなった声に民の行く末を心配してしまう。
…君たちほんとにこれでいいの?劉備じゃなくて、私ですよー?
「早速だが、これを使って炊き出しをしたいと思う、…大丈夫だろうか?」
「それじゃ意味ねぇだ!」
大きな鶏肉を持った民の一人が声を上げた。
「俺達は劉備様達に食べてほしいと思ってるのに、それじゃあ只で料理してもらってるようなもんじゃねぇか!」
そうだそうだ、と他の民も同意する。
……そういう考え方もあるんですねー?
「それはちがうぞ。こうして自らが苦しい時でも心を配ってくれる。私はその心に感謝したいのだ。……どうか納得してくれないだろうか?」
しーん、と、静まり返る。
…うわあなんか変な事いいました?

「劉備様、」
その一言を皮切りに、大きなうねりを持った歓声が押し寄せてきた。
「劉備様、俺達一生ついていきますだ!」
……え、なんで?
君たち元気だねーなんて思ってると、私のまわりに続々と食べ物が置かれていく。
まってまってこれもまた予想以上の数ですね…!
城内に入れようとえっちらおっちら運んでいく。
腕がプルプルしている(情けない)のがバレたのか、民達が手伝ってくれた。
「すまない。ありがとう」
民はやさしいんですね!戦乱の世も捨てたもんじゃない気がしますよー?

……皆さん気合入れてにげましょう、ねー?






。。。。。。。。。
そろそろ大徳っぽいところを見せないといけない気がしました。
ちょうみじかい。
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