平和一辺で終われない

目の前に積まれた完成済みの書簡の山を見る。じわじわと広がる達成感に酔いながらバタンと後ろに倒れた。甘い物食べたい…。おやつ…。
しばらくそのままぼーっとしていると、人影が外の陽光を遮る。
のっそりと起き上がって見ると、士元が立っていた。
「…士元か」
「仕事が終わったみたいだからねぇ。どうだい?ちょいと外にでも行かないかい?」

それは魅力的なお誘いだ。
…普段なら。
でも正直今はめんどくさい。眠い、寝たい。お休み。

「……士元、眠いんだ…」
「…みたいだねぇ。いい甘味屋を見つけt「本当か!」
ぱっと顔を上げる。士元の目元が和らいだ。
「それじゃあいくかい?」
「行こう!」
立ち上がって、慌ただしく財布をひっつかむ。
士元を引っ張りながら、城下に向かった。





モグモグとまんじゅうを頬張る。
「美味しいかい?」
「すごく美味しいよ!」
甘いものはきっと世界も救うんじゃないかな…!
皿を積み上げると、士元が肩をすくめた。
「相変わらずよく食べるねぇ」
「士元も食べたほうが…」
まんじゅうを一個手渡す。
「あっしは見てるだけで十分さ。それよりほら、もっと食べないのかい?」
「…それじゃ、遠慮なく……といいたいところだが…」
ちらり、と懐を見る。
「あー、そりゃあどうしようもないねぇ!あと一つで帰るかい?」
「……ああ。帰ろう」
……饅頭…。
未練を振り切るように街を眺める。
と、
「あいたたたた!おい爺さんよぉ?骨折れちまったじゃねぇか!同落とし前つけてくれんだぁ?」
いかにもなチンピラが絡んでいた。
老人に容赦なく難癖をつける様子はすばらしく見苦しい。
見てるこっちが気分を害する程のもので。
……自分の姿を顧みて恥ずかしくならないのだろうか?
うん。けちょんけちょんにしてあげよう。
「士元、」
不愉快そうな声が伝わったのかわざとらしく肩を竦めたホウ統が笑う。
「しょうがないねぇ…。後片付けはあっしに任せな。遠慮無く暴れるといいさ」
剣はあいにく持ち合わせていないけれど、そんなものあの程度なら必要ないだろう。
……手加減は難しいかもしれない。まあいっか。

ぐるりと足首を回してから、大声で何事か喚いているチンピラに近づく。
「…ええと、その」
「ああ?!なんだよへなちょこ野郎!」
へなちょこ野郎ってなんなのだろうか。もしかしてその粗末なもの切り刻んで欲しいのだろうか?それならそうと素直に言えば……いや、やっぱり頼まれても嫌だな。
「キミのその汚い手で人に触ると迷惑じゃないかな?」
「…てめっふざけんな……っ!」
あ、言い過ぎた?
殴りかかってきたチンピラの腕を掴んで捻る。なれない痛みに気を取られてガラ空きの足元を薙ぎ払った。
「すまない。ふざけているつもりはなかったんだ…。で、正直目障りだから、眠っていてくないか?」
醜く這いつくばったチンピラの首を軽く蹴る。
昏倒したチンピラを持っていた縄で縛り、士元を呼んだ。
「はいよ。……相変わらず怖いねぇ?元直」
「怖くは無いと思う。…それより、手を洗う場所はないだろうか?」
ぶっちゃけ手が気持ち悪い。腕なんて掴まなければよかった。
「ん、あっちにあるんじゃないかねぇ?」
役人を呼びつけている士元を尻目に、さっさと井戸の方に向かった。
…治安改善の策でも考えよう。




。。。。。。。。。。。。。
うちの徐庶成代はこんな人。シリアスだと前のお話な感じ。




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