このようになってしまいましたが、


無事長坂坡を逃げ切って、阿斗様を抱えたまま息も絶え絶えに劉備殿の陣に戻る。

「劉備殿っ!」

義兄弟たちと何やら話していた劉備殿が振り向いて、労るような笑みを浮かべた。
「おお!趙雲!無事だったか!」
「劉備殿こそ。無事で良かったです」
跪いて、阿斗様を掲げる。
劉備様が阿斗様を受け取って、t「劉備様あああ!」
危うく宙に投げかけた腕を慌てて抑えた。
「ちょ、趙雲…?」
肝が冷えた……!何やってんだこのやろ…!
「子を投げる親がありますか!」
思わず声を上げた。みんながぽかんとした顔で見ていたが、気にしていられない。
「ただでさえこれまでの道であんなに揺れたっていうのにこれ以上やってどうするつもりなんですか?!トドメ刺すつもりですか!」
静まり返った陣内に私の声が響く。なにか言いかけた劉備殿すらも思わず制した。
「揺さぶられっ子症候群になったらどうするんですか?どうするんですか劉備殿!」
きゃはきゃはと甲高い声で阿斗様が笑う。その声で我に返った。

「……あっ、…すっすみません」

掴んでいた腕を外して、急いで後ずさりして、平身低頭で謝り倒す。
ひょぁぁああ!恐れ多いことした切り落とされる……!やっぱあの時無理にでも賈クぶさっとやっとくんだった…!そしたらプラマイゼロだったのかもしれないのにな!!

「趙雲は子育てに詳しいのだな!」
「すみません!…えっ?」
ぽかん、として顔を上げる。輝かしい笑顔の劉備殿がそこに居た。
阿斗様をすまなそうにあやしながら、劉備殿は尚も続ける。
「…さっきはすまなかったな、趙雲。こんな私だが、これからも色々と教えてもらえないだろうか?」
「そりゃいいぜ兄貴!これで安心だな!」
「うむ。これで悩むことも減るだろう」
お、おおう……
劉備殿、その志は素晴らしいと、素晴らしいと思いますけどもっ、
色々と教えてってそれ明らかに子育て関連ですよね…!頼られるのは嬉しいですけども、何か決定的に間違ってませんか劉備殿っ!!
っていうか煽るなやめろ弟組!

しかし、そんなことを口に出して言えるはずもなく。
「……はい」
と、頷くことしか出来ないのだった。
打ちひしがれる私にいつの間にか後ろに立っていた諸葛亮殿が憐れむような目で私を見ていた。

……子守ドラゴン…。






「趙雲!」
大泣きしている阿斗様を抱えて劉備殿が走ってくる。慌ててそれを受け取った。
「おへそ周辺、頭、首、両肘両膝先をやさしくさすってあげると泣き止むとおもいます。いいですか、やさしく、ですよ!」
わ、わかった。と、とまどい気味の劉備殿を見守る。
「ああ強すぎます…!」
「む、むずかしいな」
「頑張ってください劉備殿!」

「…なぁ、あれじゃまるで母親じゃねぇか?」
「……否定はできんな」
「(憐れむ必要は有りませんでしたか…)」







。。。。。。。。。。
最初からこんなキャラにする予定でした……。
が、暴走しすぎた感が拒めない。
すっごくみじかい。








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