ダストシュート | ナノ

愛すべき同胞へ


劉備成り代わり

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曹操には劉玄徳の事がよくわからなかった。ただ、いずれ自分を脅かすだろうことはよくよく分かっている。劉備の方もそれは知っているようで、時折見せる表情には得も言われぬ気迫すら見えた。
曹操はいつか劉玄徳を殺そうと思って生きているけれど、劉備のことを大層好ましく思っていて、仲間に引き込んでしまおうと考えたこともあった。彼は自分と対極のものを掲げていながら、そのくせほんとうは自分にとても似ているように思えたから。だから、曹操は一度だけ聞いてみたことがある。
「お前のそれは本物か?」
「曹操さんは私に本当だって言って欲しいんでしょう?」
やられた。
「例えこれが嘘だとしても関係ありませんよ。あなたがわたしになれないようにわたしもあなたになれないのだから。わたしの全てをあまつことなくあなたに教えられたとしても貴方は私のひとつしか理解できない」
「どうしてだ。私はかしこいぞ。全てとは言わずとも、お前のうちの百ぐらいはそっくりきれいにのみこめる」
そんなことを言ったけど、本当は曹操にも解っていた。
ほとんどの人間はお互いを一つもわからないのだ。それなのに全部知っているふうな顔をしてお互いを傷つけてしまうのが人間なのだ。
だから、劉備と曹操がお互いを一つでも理解できるのは、それはとてもすばらしくかなしいことだということを。
「天下に英雄は私と貴方だけだとしても、」
「天下に英雄が二人いては多すぎる」
「曹操さん、私は貴方を絶対に殺しますよ」
「劉備、儂はお前をいつか必ず殺してやる」

だからその時までは英雄でいて下さい。
儂が殺すまでお前はずっと英雄でいろ。

ふたりは同時に笑った。同時に笑ったことが面白くてもっと笑った。

ふたりがふたりとも、お互いのことを一つだけわかっていたから。





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深夜テンションならぬ寝起きテンションでかいたやつ。
不可視の補足みたいな感じ。おたがい殺す準備しながら武器も持たずに仲良く酒のんでるかんじが基本コンセプト()
俺はお前が殺すから俺以外に殺されんなよっていうありがちな関係。

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2014/04/03 12:10
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