俺の部屋には未だに状況を理解できずあたふたしている速水と、事の重大さを理解せず俺の本棚を漁っている浜野と、それから俺の机の上の消しゴムに腰をかけている南沢さんの3人が揃っていた。俺は持ってきたジュースを2人に渡して、空いているスペースに腰を下ろした。

「浜野、お前少しは動揺しろよ」
「いやだってなんかそのサイズでも違和感ないし」
「大ありだろ」

駄目だ、不安しか感じない。ようやく本棚を漁るのを止めた浜野が俺の前に胡座を掻いたので、溜息を一つこぼしてから、目の前の南沢さんについて話すことにした。

「南沢さんが部活を辞めたあの日、南沢さんはミニサイズになった」
「何で?」
「わかんねえから困ってんだよ」
「つ、つまり、最近南沢さんが学校に来ていないというのは…」
「そういうこと」

机の上から偉そうな南沢さんが溜息混じりにそう言った。浜野は興味深そうに南沢さんを見ているし、速水はビビって南沢さんを直視できないし。時間も時間だからさっさとこのことは秘密でよろしくと言って解散したいのだが、どうもうまくいかない。お前ら帰らなくて平気なのかよ。

「何で相談してくれなかったんだよ。水くさいじゃんかー」
「そ、そうですよ…」
「お前ら役に立たなさそうじゃん。どうせ相談するなら三国さんとかだろ」
「えー倉間ひどい」

そんなことを言われても現に今役に立つどころか俺の悩みを増やしている。速水はともかく浜野とか口を滑らせて学校中に広めてしまいそうだ。南沢さんが好奇の目に晒されるのは俺が嫌だ。

「とにかく、そういうわけだから。誰にも言うなよ!」
「い、言えませんよ…」
「大丈夫、言わないって」

いまいち信用のならない浜野だが、だからといってどうすることもできない。今はその言葉を信じるしかないだろう。







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