「ごぶふぅっ」

それは真夜中のこと。

部活に買い物と、疲れきっていた俺はもちろんベッドの中で爆睡していた。しかし突然の腹部への衝撃で俺は驚いて目を開けた。視界に入ったのは見慣れた天井。……との間にいる南沢さん。何故か俺の上に乗っている、というか膝が見事に俺の腹に入っている。痛さにしばらく悶えた後、南沢さんの異変に気がついた。

「……元に、戻ったんですか?」

痛さは一気に吹っ飛び…はしなかったがそれどころではない。俺は瞬きを繰り返し、その姿が夢でも幻でもないことを確かめる。ついでに手を伸ばしてペタペタと触れて確かめてみた。

「戻ってる……」
「何ベタベタ触ってんだよ」

どこか照れたように南沢さんはそう言うと俺の手を振り払った。そして俺の上から降りるとベッドに腰掛けた。それに続いて俺も上半身を起こし南沢さんを見た。

「…どうして突然戻ったんすか?というかまず何でちっちゃくなっちゃったかって話ですけど」
「………わかんねえ」

なんだか歯切れの悪い返事に俺は首を傾げた。そっと布団から抜け出てその顔を覗こうとしてもぷいっと顔を反らされてしまう。俺が寝てるうちに何かあったんだろうか。それより何故南沢さんは俺の上に落ちてきたんだ?

「と、とりあえず、明日家に戻ります?」

何を言ったらいいかすらわからなくて、とりあえずそう問えば南沢さんは「ああ」と気まずそうに言った。

「まぁ今日はとにかく寝ましょ。俺明日も朝早いし」

ベッドの上に座ったまま動く気配のない南沢さん。俺は痺れを切らして腕を引っ張り俺の横にその体を倒した。今日は同じ布団で我慢してくださいと言いながらちらと南沢さんを見た瞬間、俺は思わずゴクリと喉を鳴らしてしまった。だって、と心の中で言い訳をする。普段から色気を振り撒く南沢さんに乱れた髪と少しはだけた服がプラスされて、何て言うかもう、色っぽい。

「何?お前こそ寝ないわけ?」
「へっ?あ、ね、寝ます!」

慌ててそう言って布団に潜り込んだ。もちろん南沢さんには背中を向けて。ドキドキする胸を押さえながら、程なくして聞こえてきた南沢さんの寝息をBGMに俺は明日は寝坊だなと溜息を吐いた。







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テーマ「人外ファンタジー」
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