雪が降った。グラウンドは真っ白で、とてもサッカーなんてできそうもない。だから屋内で今日の部活は行われた。風を防ぐ壁のある部室から出ると、一層外は寒く思える。マフラーで口元まで隠して、一歩、外へと足を踏み出した。ちらちらと舞う雪が視界にいっぱいに広がっている。手を差し出して、手のひらに乗った雪が溶けるのを見つめた。

「何やってんですか。こんなとこで」

冷えたら風邪引きますよ、背後からそんな声が聞こえた。振り返るとそこには鼻を赤くさせた倉間が傘を差して笑っていた。

「寒いな」
「そうっすね」
「マフラーも手袋もコートもなしか。お前こそ風邪引くぞ」
「大丈夫ですって」
「子供は風の子か」
「バカにしてます?」

そう言いながら倉間は俺に傘を差し掛けた。俺より背の低い倉間は、腕を伸ばし若干辛そうだ。だからその傘を半ば奪うようにして持つと、倉間の隣に並ぶ。そして自分のマフラーを取ると、倉間の胸に押し付けた。

「貸してやるからマフラーくらいしとけ」
「あ、南沢さんの匂いだ」
「ふざけてると先行くぞ」
「ふざけてません」

じゃあ遠慮なく、と倉間は俺のマフラーを首に巻きかけてふと止まる。首を傾げる俺に一歩近付くと、倉間はマフラーの余った部分を俺の首に巻いた。

「恋人巻き」

幸せそうに笑う倉間に、ふっと俺の頬も緩んでしまった。それを隠すようにもう一度ふざけてると先行くぞと言って倉間から視線を外した。

「先に行ったら首絞まりますよ」

そう言って指を絡めてくる倉間の手は、ひどく暖かかった。





君がいる冬
(あったかいね)


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