世界は平和になんかなっていない。
 だって、幼い頃に読んだ絵本の中の勇者は、世界を救って平和な毎日を送ることが約束され、人々と共に幸せになったのだから。本当に平和になったのなら、勇者(クレアシオン)も此処で笑っている筈なのだ。
 だから、こんなのは自分が思い描いていたハッピーエンドじゃない。こんな結末は、ボクが認めてやらない。

 だが、自分は王が求める勇者になってやるつもりも毛頭ない。
 正直な話、勇者も魔王も、世界の平和も、富も名誉も称号も、今の自分にはどちらでも良いものだった。それでも勇者になろうとする理由は、誰でもないあの勇者が「勝手に勇者になれ」と言ったからだ。
 何らかの感情を押し殺しているような彼の最後の笑みを見て、誰が何と言おうとも、自分は勇者を救う為の勇者になろうと決めたのだ。

 それは、ただ一つ――この手に残された紅色の布を強く握り締めた、一年前のこと。






 *


 ――早く帰らなければ、と帰路を急ぐ。
 母の誕生日プレゼントの花束を作ろうと花を摘みに森へ入っただけのつもりが、思いの外時間が掛かってしまった。

 村から少し離れた場所に位置するこの森は、昔から悪ガキ達の秘密の遊び場であった。少年も最近になって幼馴染と遊びに通うようになったのだが、村の大人達はそれこそ耳にタコが出来るくらいにしつこく「あの森へ入ってはいけない」と繰り返した。彼らの話に依れば、森には凶悪な怪物が獲物を求めて彷徨っているのだそうだ。しかし何処からそんな情報を得たのか、子ども達はその怪物が活動を始めるのは陽が沈んだ夜の間だけだから、昼間は森に入っても平気だと断言し、大人の目を盗んでは森へと足を運んでいた。
 斯く言うこの少年も、それを真に受けていた一人である。今回は、陽が山の端へ沈んで夜空に月が昇り始めたのを見てふと少年はあの噂を思い出し、大慌てで駆け出したのだ。

 夜の森は何とも不気味で、風が枝葉を鳴らす音や夜行動物の微かな鳴き声を耳や肌で感じる度に竦み上がりそうになる。ひたすら砂利や草を踏みつける音で恐怖心を散らそうと躍起になっていた少年は、ふと獣の唸り声を耳にした気がして立ち止まった。足を止めた途端、静まり返った森には確かに何かの息遣いだけが響き渡る。
 すると不意に、少年の背後から文字通り木々を掻き分けて、巨体がぬうと顔を覗かせた。

 「うあああ……!?」

 3メートルは優に超える緑色の肌をした生物は、そんな甲高い悲鳴を聞き付けると、身体の割にバランスの悪い大きな頭を少年にぐるりと向けた。その両目は大きく落ち窪み、夜空と同じ色をした穴がぽっかり空いている。筋骨隆々とした腕や背中には、何故か無数の蔦が這っていた。

 「あ、あ、…」

 逃げなければ、走らなければ。
 そうは思えど、少年の足はガクガクと震えて言うことを聞いてくれない。母のプレゼントだけはしっかりと胸に抱いたまま、とうとう少年は恐怖の塊を前にしてぼろぼろと泣き出した。
 こんな時に思い出すのは、森に行くなと何度も自分を叱った母の顔と、毎日一緒に遊んでいた眼鏡の幼馴染のそれだった。言いつけを守らなくて御免なさいと泣きじゃくる少年の頭上で、怪物が大きな腕を振り上げる。月明かりに照らされてギラギラと邪悪に光る汚らしい爪が、少年を切り裂こうとして――――空を切った。

 「――え…?」
 「くっそ、硬いな……!」

 ――突如、怪物の両腕から鮮血が噴き出した。悲痛な叫び声を上げて頭を抱える巨体が傾く。その両腕にはそれぞれ大きな裂傷が出来ているのが確認出来た。次いで、何処からか小さく舌打ちする声も聞こえ、少年は周囲を見回した。しかし瞬き一つする間に少年は誰かに抱え上げられ、後方へと飛んだ。
 男は目も眩むような速さで少年共々飛び退り、怪物と大きく距離を取った。

 夜も更け、月の輝きが強くなり始めた頃だ。月光に照らされ、徐々に男の姿が明らかになる。
 中でも一際目立つのは、二本の太いベルトに巻き付けられた紅い布切れだった。栗色の髪から覗くダークブラウンの双眸は、安堵の色を滲ませる。十代後半くらいだろうか、青年は人好きのする優しい笑みを浮かべた。

 「良かった、間に合ったね。怪我はない?」
 「は、い……」

 未だに状況が呑み込めないでいる少年は、紅玉の瞳をぱちぱちと瞬かせるだけだ。目まぐるしい展開のお陰で、恐怖は少年の内からすっかり抜け落ちていた。それでも頬に残った涙の痕を見付けた青年は、赤目の少年の頭を撫で、「もう大丈夫だから」と力強く言って怪物を睨み付けた。

 「…アイツは目が発達していない分、耳が良い。音さえ立てなければやり過ごせるモンスターなんだ」
 「あ、…っ」

 青年の説明に、思い当たる節があった少年は、思わず大きな声を出しそうになって口元を押さえた。青年はその姿を見て「君はやたらと音を立てた所為で、奴に気付かれたんだろうね」と小さく笑みを零した。

 「でも今は、結構距離を取ったからこっちを見失っているみたいだ」

 見ると、巨体を震わせる怪物は小さく唸りながら辺りを見回している。どうやら獲物が立てる音を聞き逃すまいとしているのだろう。

 「じゃ、じゃあ今の内に逃げれば良いんじゃないですか?」

 ハッとした少年は青年のジャケットの裾を引き、声をひそめてそう提案するが、直ぐに青年の首が横に振られる。
 
 「いや、駄目だ。こんな森の入口近くで飛び出せば、奴も外まで追って来てしまう」

 この森の近くには村があっただろう? と言う青年の言葉を反芻して、少年の顔は見る見る内に青くなり、白くなった。自分が言わんとすることを正確に汲み取ってくれたらしい少年に頷きだけを返して、青年は左手の獲物を構え直す。

 「…だから、此処で食い止める」

 すう、と青年の纏う空気が急に冷たく研ぎ澄まされる。彼の殺気を本能的に察知したのだろうか、怪物は唸り声を上げるのを止めて静かに周囲の様子を窺っているようだった。
 怪物に剣の切っ先を向けるその凛々しい横顔は、いつか読んだ絵本に登場する勇者のそれを彷彿とさせ、彼を映し込む少年の瞳が徐々に輝きを取り戻し始めた。
 その姿は、まるで。

 「クレアシオンみたいだ…」
 「残念ながら、ボクはクレアシオンじゃないよ」

 その小さな呟きを拾い上げたらしい青年は、照れ臭そうでいて何処か哀しげに微笑んだ。でも、クレアシオンは本当に勇者になりたかったのかなと言う青年の独り言は、少年の耳に届くことはない。
 しかしそれも一瞬のことである。少年が視線を遣った時には既に、青年はその目を細めて緑色の巨体を見定めることに意識を集中していた。彼は地面に転がる手頃な石を拾うと、その感触を確かめて右腕を大きく振りかぶる。ぐん、と放たれた石が風を切り、怪物の背後の木に当たる。
 ガツンという音に反応した怪物が素早く振り返ったのと、少年の横を一陣の風が駆け抜けていったのはほぼ同時であった。

 「――でも、ボクはクレアシオンを救う勇者になるんだ」
 
 そう誓ったんだ。
 瞬間――青年は長剣を振るい、巨体の両足の腱を素早く切断する。神経をやられた両足でその大きな身体を支えられる筈もなく、絶叫を上げる怪物はその場にがくりと膝をついた。だが、青年の刃は倒れまいとして尚も巨体を支えようとするその両腕の腱を続け様に断つ。

 「いくら身体が大きくても、四肢の腱を切られちゃどうにも出来ないだろ」

 ぶらりと垂れ下がる両腕は、最早何の役にも立たない。どうとその場に俯せる怪物は、壮絶な痛みに藻掻き苦しんでいるようだった。勇者は、剣にべっとりと付着した血と肉の脂を振るい落すと、静かに足元を見下ろした。

 「……ごめん、な」

 直ぐに、楽にしてやるから。
 ウゥ、と呻き声を上げる怪物の頭に向けて刃を振り下ろす直前――一瞬、勇者の表情に陰りが帯びる。
 しかしそれは、勇者の鮮やかな手腕を目の当たりにして興奮気味の少年には、知る由もないことだった。
















 「ありがとう、アルバさん。今日も魔族を魔界に戻してくれたんだね」

 宙に小さなゲートが現れ、少女がひょっこりと桃色の頭を覗かせた。顔見知りに気付いたアルバは、木の根元に寝袋を広げていた手を止めて彼女を振り返り見た。

 「ルキ、」

 共に旅をしている彼女には、怪物と一戦を交える前に安全な場所へ避難して貰っていたのだが、頃合いを見計らってゲートを繋いだらしい。
 あの後、アルバは少年を村まで送り届けると、是非ともうちに泊まっていってくれ、お礼がしたいと言う村人達の数々の誘いを丁重に断り、野営の準備に取り掛かっていた。
 アルバが直ぐにルキを呼び戻さず、人々の誘いを頑なに拒んだのは、少女の特殊な肩書きに気を回したからだった。まさか11歳の少女が現魔界を統べる三代目魔王などとは誰もが夢にも思わないだろうが、ひょんなことからその素性が知れてしまう場合もある。人が皆、自分の知人のように魔族に関して寛容であるとは限らない。そのことに気付いたのは、旅を再開して直ぐのことだった。
 旅の途中、立ち寄る町ですれ違う人々は、多かれ少なかれルキに対して奇異なものを見るような視線を向けていた。時折、人間とは異なる彼女の容姿をネタにして金を巻き上げようとする無粋な輩にも絡まれた。彼女曰く、こういったことは三人で旅をしていた頃にもあったのだそうだ。しかしそれも、初めて絡まれたのを堺にパッタリとなくなったらしい。

 「多分ね、あれからロスさんが色々と気を回してくれていたんだと思う」

 そう言ったルキの表情は何処か仄暗く、哀しげであったことを今でもはっきりと憶えている。アルバにとっては初めて絡まれたその日の夜、「勇者さんには黙っておいてくれ、ってロスさんには言われてたんだけど」と前置きした彼女は、スプリングが激しく音を立てる安物のベッドに腰掛け、ゆっくりと言葉を選びながら話してくれた。彼女の話を聞く限り、どうやらロスは知らない所で自分に対しても細かく気を配っていたようだった。
 彼女が妙な輩に絡まれないようにさり気なく二人を誘導していたこと。アルバが首から提げていた勇者の証に目を付けて奇襲を仕掛けようとする輩や強力なモンスターを人知れず撃退していたこと。野宿では火の番を交代制にしておきながら、一晩中それとなく周囲を警戒していたことと――自分の知らないロスの気遣いが、彼女の口から次から次へと語られた。
 アルバは驚くのと同時に、今まで何も知らなかった過去の自分を恥じた。そして、酷く後悔した。自分が弱かった為に、ロスは何も語ることなく一人で全てを背負い込み、自分の力だけで解決しようと決めたのだと。

 「でも、アルバさんは強くなったよ」

 あの少年の村から少しばかり離れた平地に灯る炎。ぱちぱちと静かに火が爆ぜる音を聞きながら、ルキはアルバを見つめた。

 「毎日魔族を見付けては魔界に返す為に戦ってるし、一年前と比べて剣の腕も遥かに上がってるもん」

 足も速くなったし、身体の動きも凄く良くなったよとまるで自分のことのように喜ぶルキ。アルバはありがとうと少し気恥ずかしそうに後ろ頭を掻きつつ礼を述べると、「でも、未だ駄目なんだ」と視線を足元に落とした。
 赤々と燃える焚き火をたった二人で囲むこの場には、何かが足りなかった。ぎゅう、ときつく拳を握り締めるアルバを横目に、ルキは「早く助ける方法を見付けなくちゃね」と吐息混じりに呟いた。彼女は火に掛けていたポットを手にして、取り出した二つのマグカップを温かい紅茶で満たす。一つはアルバの傍に寄せ、ルキは残ったカップに口を付けた。
 彼女は、決して「誰を」とは言わない。そんなことは、二人で旅を始めたその時から分かり切っていることだった。彼が今世界を奔走しているのは、世界平和の為でも、地位や名誉の為でもない。彼はただ――たった一人の青年を救い出す為に。

 小さな魔王は、嘗てひ弱だった勇者の背中が逞しく成長していく様子を、この一年間ずっと見続けて来た。だからこそ、一つ分かったことがある。

 「――アルバさんは、ロスさんのことが大好きなんだね」
 「ぶっふぅっ!!?」
 
 思わぬ所から落とされた爆弾は、ある種の大惨事を引き起こした。アルバは口に含んだ紅茶を勢い良く噴き出し、激しく咳き込む。対面するルキはきゃあと悲鳴を上げて、「お行儀悪いよ、アルバさん!」と甚くご立腹の様子である。
 聞き間違いであって欲しいとばかりにアルバは彼女に待ったを掛けた。乱れた呼吸を整え、マグカップを脇に避ける。アルバが覗き込んだその顔は、未だあどけない少女のそれである。

 「ルキちゃん…。それ、意味分かって言ってる?」
 「うん! 恋愛的な意味で!」
 「清々しい笑顔!」

 性分で思わずツッコんでしまったが、それよりもルキの発言が想像通りのものであったことに頭を抱えたくなったアルバである。うおぉと唸り声を上げるアルバを他所に、ルキは分かっちゃうよーと揶揄するような笑みを浮かべた。

 「だってさ、世界平和も勇者も名誉もアバラも投げ出して、アルバさんはロスさん一人を選んだんでしょ?」
 「アバラは投げ出してないけどね!?」
 「ロスさんが居なくなった後、アルバさんは衝動的に王様をぶん殴って不敬罪で投獄されたよね?」
 その時のアルバさんも、今のアルバさんもね、ロスさんのことを話したり考えたりしている時には、とっても真剣でとっても優しい顔をしているの。
 「アルバさん、ロスさんに恋してますーって全身でアピールしてたもの!」

 そう言うと、アルバの顔は青くなったり真っ赤になったりと忙しなく変化していたが、やがて困ったような表情を作ると「そんなに分かり易いかな、ボク」と大人しくなった。それに彼女はさあどうかなあ、と楽しそうに言って小さな頭を傾けると、
 「少なくともロスさんは知らなかったと思うよ。あの頃はアルバさんも無自覚のヘタレだったし、ロスさんも大概鈍かったからきっと大丈V!」
 「安堵して良いやら落ち込んで良いやら分からないなそれ! つーか懐かしいな大丈Vって!」

 満面の笑顔でピースサインをするルキを前にして、やれやれと自身の頭をくしゃくしゃとやるアルバ。彼が戦士への想いを自覚したのは、ロスが伝説の勇者として自分の目の前から居なくなったあの時だった。
 諸悪の根源であると言う男と対峙していたと思ったら、一瞬視界が暗転して――目が覚めると周囲が自分を見て驚いた顔をしているし、戦士があの伝説の勇者・クレアシオンだと言うしで始めは頭がぐちゃぐちゃだった。
 でも、ただ一つこの手に残された紅い布の切れ端と、彼が最後に見せたあの微笑――あの時、アルバは頭が真っ白になったことを憶えている。

 本当に大切なものは失ってから気付く、なんて、よく言ったものだ。

 そうして物思いに沈んでいると、不意にルキと目が合った。「なあ、ルキ」と声を掛ければ、「なあに、アルバさん」と返って来る。アルバはふと思い出したように「ロスってさあ、すんごいドSだったよな」と笑い、
 「実はあいつ、出会い頭から毒舌全開でさ――これから宜しく、って挨拶しただけで開口一番『あ、口開かないでくれます? 貴方の生粋のドМ臭が口臭を通して俺に感染るんで』って言ったんだぜ。勿論、ムカつくくらいの超笑顔で」
 それからもボクの食事に薬を持ったり、ナイフでボクの腰刺したり、折れてるアバラに容赦なくデュクシしたりしてさ。
 努めて明るい口調で続けるアルバは、指折り数えて一つひとつ丁寧に彼との遣り取りを想起する。彼女もそれを聞きながら、そうだったねと言って懐かしそうに微笑んだ。

 「その癖、本当は馬鹿みたいに優しくて、人のことばっか気に掛けていて、……何でもかんでも自分で背負い込んで、…一人で解決しようとしてさ、」
 「…うん、」
 「えらく、…頭と口が回る癖に、変な所で不器用で、さ」
 「アルバさん、…」

 そう言うとアルバは、薄ら血が滲む程下唇を強く噛み締め、それきり口を噤んでしまった。ルキはそんな彼の傍に寄り添うと、心配そうにその顔を覗き込む。彼の喉からは熱い息が微かに漏れ出し、火に照らされた地面には点々と黒い染みが出来る。
 彼女は、何も言わなかった。
 アルバは、引き攣りそうになる喉を唾液を飲み込むことで押さえ込み、
 「ボク、……ロスを、助けたいんだ」
 「うん、」
 「…好きなんだ、ロスのこと」
 「うん…、知ってるよ」

 早く会いたいね。早く届くと良いね、アルバさんの気持ち。
 両膝を抱え、嗚咽を呑み込むアルバの呟きを丁寧に掬い上げ、少女は青年を抱き締めた。しかしその小さな身体では、彼女がアルバに抱き付いているようにしか見えない。その上容赦なく首を締め上げられ、アルバは苦しいくらいだった。
 だが自分は、世界を奔走していた一年間――この体温に随分と救われて来たように思うのだ。

 ロスのことを大切に想っているのは、自分だけではない。この小さな少女は、つい最近知り合った彼に対して圧倒的な信頼を寄せているようだった。
 そして彼女もアルバと同様に、この一年の間にロスを救う方法を求めて魔界と人間界を何度も往復しては手掛かりを探して回っていた。城の蔵書を手当たり次第に読み漁ったが、それらしい記述は見当たらなかったらしい。しかし同時に、クレアシオンが行ったとされる次元の狭間に対象者を自身と共に封印する魔術も見付からなかったとも言っていた。ルキの見解に依ると、あの封印魔法はクレアシオンが独自で組み上げたものである可能性が高いのだそうだ。
 書物にない未知の魔法を解除するには、彼が行った術式の全てを自分達で再構成する必要があるのだと言う。労力も、時間も相当掛かるのだと。

 でも、それでも。


 「どんなに時間が掛かっても、ボクは絶対に、ロスを迎えに行く」



 (だってボクは、あいつのことが好きだから、大切だから。)


 そう言って溢れる涙を乱暴に拭った勇者は、世界の為ではない――伝説の勇者の為の勇者であった。



 早く、お前に会いたいよ、ロス。























 「――勇者さん…?」

 誰かに、呼ばれたような気がした。


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