傷口に愛を塗り込んだ

あれは、私達がまだ小さ

い時の事。

公園で一緒に遊んでた頃

から、少したった位の事

だ。

その頃から、平助は細か

い事にまで敏感で。

でも子供だから、それを

隠すなんて器用な事はで

きなかった。

「平助くん!またケンカし

たのね!」

先生は口癖のように言っ

ては、ため息をついてい

た。

暴力的な平助の周りには

人がいなくなり、やがて

はいじめのような事にま

で発展していった。

それでも私は平助のそば

にいて、そんな平助を励

ました。

たまに冷たく当たられる

事もあったけれど、私が

そばを離れるだけで泣き

そうな顔で縋り付いてく

るから、離れる事なんて

出来やしなかった。

「俺、強くなるから」

幼いながらに大きな決意

を秘めて、彼はそう言っ

た。

それから平助は剣道を習

い始め、周りに猫をかぶ

るようになった。

いや、底無しの明るさや

性格は本物だけど、自分

の嫌われる部分を隠すよ

うになった。

途端、平助の周りには人

が寄ってくるようになり

、そのまま、ずっと過ご

してきた。

人気者の彼は人に好かれ

る。

そして、そんな平助に恋

をしている女の子にとっ

て、彼の〈幼なじみ〉と

いう存在である私はどう

にも邪魔らしい。

「ちょっと、中庭まで来

てくれる?」

上辺だけの笑顔をうかべ

る女の子達に、うんざり

としながらついていく。

放課後にそこで行われる

行為といえば、暴言と暴

力。

暴力は、服で隠れてしま

うような所にやるからま

た悪質だ。

あの頃の平助もこんな思

いをしてたんだなーと、

ぼんやりと考えているう

ちに、女の子達は満足げ

に帰っていく。

今回は少し酷いかな、な

んて思いなが立ち上がっ

て、服についた埃をはた

いてから空を見上げた。

黒っぽい雲と青い空、両

方が浮かぶそれが、愛し

い彼を思わせた。

ずきり、手首が悲鳴をあ

げて、唇を噛み締める。

赤く腫れ上がったそれを

服の袖で隠して、教室で

まってくれているであろ

う彼の元へ急いだ。





to be continue



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