がらり、勢いよく扉を開ければ、席に座ってぼんやりと何処かを眺める平助の姿があった。 音に驚いたのか、びくりと肩を震わせ、はじかれるようにこちらをみる。 その様子は明らかにいつもとは違っていた。 「平助..?」 小さく名を呼べば、平助は急に立ち上がった。 ガタン 静かな教室に、椅子が倒れる音だけが響く。 大股で私のほうに歩いてくるその姿は、何処か切羽詰まってるように見えた。 そのまま私の手首を強くつかみ、廊下を歩いていこうとする平助。 だけどつかまれた手首は、先程悲鳴をあげたばかりの手首。 平助の力の強さによって、熱を持っていたそれはよりいっそうの痛みを私に感じさせた。 「っ!」 電流のようなそれによって反射的に、私は平助の手を拒んでいた。 振りほどかれたそれは空をきり、ての持ち主は目を見開いて私を見つめる。 しまった、そう思ったときにはもう遅く、弁解しようと口を開いた私の声を遮ったのは、ひどく冷たく、苦しそうな声だった。 「お前も、同じなのか..?」 驚いて固まる私を悲しげに、すがるように見つめるその姿は弱々しい子供のようで。 言葉の意味を受け止められず立ち尽くす私に背を向けて、彼は廊下のはしに消えていった。 To be continue |