一人、暗い空間に立ち尽くす小さな俺。 目の前には、見知った子供達。 「暴力しかできないのかよ!」 一人の子が俺に向かって叫び、石のようなものを投げる。 それが合図だったように、次々と周りの子もそれを構える。 「お前なんかと一緒にいても楽しくない!」 「まともに話しもできない!」 どれも、聞き覚えのある言葉だった。 〈拒絶〉その恐怖だけが、俺を支配して。嫌な汗と共に、耳をふさぎたなった。 投げられる石は増えていく。 小さな手が震え、何かが溢れだしそうになった。 「お前なんか、死んじゃえばいいんだ!」 はっ、と目を覚ます。 勢いよく起き上がったそこは、見慣れた教室だった。 それによって先ほどまでの事は全部夢だったのだと理解し、大きく息をはいた。 汗を無造作に拭い、ぼーっと黒板を眺める。もう随分と昔の事なのに、どこまでも女々しい奴だと自分に思いながらも 、幼い頃の恐怖は深く胸に刻まれていた。 「なまえ..」 どんな時でも近くにいた、いつの間にか唯一の心の救いのようなものになっていた人物の名を紡いで、強く手を握りしめた。 to be continue |