在るべき場所




「廊下の方から一さんの足音がしたのできてみたんです。
そしたら、本当に一さんでした!」
満面の笑みの彼女は、少し手に力をこめた。
俺の足跡の区別がつくのか、と思ったのも束の間。
「ずっと会いたかったんですよ、一さん」
俺の服に顔を埋めた彼女は、今にも壊れそうな程に弱々しかった。
「俺もだ…」
どうしようもない愛しさを隠さず、彼女を強く抱きしめかえした。
なまえは一瞬肩を震わし、顔をあげたが次の瞬間には嬉しそうに笑っていた。
「この償いはちゃんとしてもらいますから!」
返事のかわりに笑みをこぼし、腕の中の彼女をいっそう強く抱きしめた。







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