飴玉
夏侯淵は口の中に飴玉を一つ放り込む。
ほのかに甘酸っぱい味が口内に広がる。
たまに喉を潤す為に飴玉を常備している。
飲み水が無い訳ではない。
水は貴重な物だから、と夏侯淵はよく飴玉を夏侯惇に買って欲しいと言っていた。
「逆に喉が渇くぞ…淵」
「いいんだよ、味の無い水よりも飴玉の方が大好きだ…」
「そうか…」
それに舐めているだけでストレスを発散出来る。
夏侯惇の隣りで新たな飴玉を取り出す。
「おい、また飴玉舐める気か?太るぞ…」
「だって、口が寂しいし。それにまた動くから太らないぜ…」
まあ確かにそうだが、いくらなんでも舐め過ぎだ。
「待て、淵…」
「なんだよ惇兄…?」
飴玉を舐めようとする夏侯淵に夏侯惇は止めさせた。
「飴玉よりもいいものをやるよ…」
「何それ…?」
夏侯淵の顎を掴み夏侯惇は夏侯淵に口付けた。
「んん…んふっ…ん、くっ」
舌を差し入れて口内を舐めて夏侯淵の舌を絡める。
「んあっ、や…はぁ…」
夏侯惇が満足するとゆっくり唇を離した。
「はぁ、はぁ、惇兄…」
「飴玉よりも良かっただろ?」
夏侯惇の囁きに夏侯淵は顔を真っ赤にする。
「惇兄の変態、何するんだよ!!」
「感じていた癖にか…」
夏侯惇はわざと囁いた。
「うるさい、惇兄の馬鹿ァ…」
「可愛い奴だ…当分は舐めるのは止めておけ」
「え〜じゃあこれはどうする?」
それは袋から取り出した飴玉であった。
夏侯惇が飴玉を取り上げて飴玉を自分の口に放り込む。
「俺が舐めれば済む事だ…」
「また口が淋しかったらしてやるよ…」
夏侯淵は更に顔を赤くした。
「もう…惇兄の…変態…」
細々と呟く姿に夏侯惇はクスクスと笑う。
夏侯淵はあの出来事から飴玉を舐めては夏侯惇を誘惑する手段の一つとして覚えたのであった。
「惇兄…またしてよ」
従弟がまた妖しく微笑んで夏侯惇に抱き付いてくる。
「可愛い奴だ…」
夏侯惇は夏侯淵の身体を強く抱き締めてゆっくりと口付けを落としていった。
終
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