愛欲と独占欲



「離して下さい…」
冷ややかな声を出して自分の腕を掴む男に離すように呟く。
だが男には腕を離す気配は全く感じられず。
逆に男は腰に腕を回し躯を引き寄せて抱きしめてくる。
「こんな処で誰かに見られたら…」
「恥ずかしいのか?誰か来たら見せつければよい」
男は恥ずかしそうな顔を浮かべる夏侯淵を見つめて呟く。
「殿…止め、やっ…」
顎を捕まれて無理矢理口づけをされてしまう。
触れ合う唇の感触を感じながら夏侯淵は流されまいと抵抗をしようと男を引きはがそうとする。
「儂に逆らうか夏侯淵…」
曹操はニヤリと笑いながら夏侯淵に囁く。
着衣は乱れて吐息を繰り返す夏侯淵は涙に濡れる瞳で曹操を睨む。
その表情だけで男を誘う色香を醸しているのを夏侯淵は解るはずもない。
「やっ…ああ…っ!」
不意に夏侯淵の高ぶる陰茎を扱かれれば嬌声が上がる。
「止め、ああっ…殿、許して…」
嫌だと制止の声を出しても曹操は行為を止める事はなく更に続けようとする。
「こんなに濡らして淫乱だな…妙才」
字を言われると夏侯淵の躯がびくりと震える。
曹操は高ぶる己の陰茎を掴むと夏侯淵の慣らしていない蕾へと宛てがう。
「殿、それだけは…止めっ、嫌ぁ!」
夏侯淵は嫌々と呟くが曹操は一気に腰を進める。
「あぐっ、あああっ!」
夏侯淵から悲鳴が上がる。
苦痛を帯びた声を聞くと曹操はうっとりとする。
「解るかお前の中に儂が入っているのが?」
わざと聞いてくる曹操に夏侯淵は答る余裕なんてなかった。
「本当に、可愛いな…」
愛しい躯をやっと抱けた喜びを感じた曹操は激しく腰を動かし何度も夏侯淵を責めたてる。
「あっ、痛い、やぁ…ああっ!」
肉が裂ける痛みと快楽が同時に襲い涙が溢れ零れ落ちる。
「いい声だ、もっと声を聞かせろ妙才…」
曹操は夏侯淵の萎えていた陰茎を掴むと扱いていく。
「ひゃあ、ああ、はぁん!」
敏感な箇所を愛撫されたら夏侯淵は引っ切りなしに嬌声を上げてしまう。
曹操の執務室で無理矢理に犯されている為にいつ誰か此処に来るかわからない。
なのに声が抑えられない。
気持ち良くて何も考えられなくなる。
「あっ、やぁ、駄目ぇ…ああ、はぅ…ん」
曹操は敏感な躯を愛おしく抱きしめて口づけを交わす。
もっと快楽に溺れろ、そして自分だけを見て欲しい。
「妙才、愛している…」
「ああ、殿っ…!」
曹操は更に腰を掴むと律動を早める。
「あっ、激し…いぁ、はっ、あん!」
夏侯淵は激しい律動に耐えられなくなる。
「妙才、儂と共に…」
「はぁ、ああ…っ」
曹操が絶頂が近いと言葉を促す。
更に躯がぶつかり合う音が激しくなる。
曹操の陰茎が夏侯淵の前立腺を攻めた。
そしてしこりを強く擦られて目の前が真っ白になる。
「ひやあああーーっ!」
「くっ…うっ!」
二人は同時に絶頂を迎えた。
中に注がれる熱を感じながら夏侯淵も欲を吐き出した。
暫くの間、繋がったままの二人は絶頂の余韻を感じた。
「ふふ…良かったぞ、妙才」
「いい加減に抜いて下さいよ、苦しいです」
夏侯淵は曹操にどくように促す。
曹操はまだ中に入れておきたかったが仕方なく萎えた陰茎を引き抜いた。
栓が無くなった為かとろとろと注がれた精液が滴り落ち、床を白くする。
「っあ…やっ…」
引き抜かれた感覚さえも敏感に反応してしまう躯が忌ま忌ましい。
早くこの場から離れたいが腰が立たなくて横たわるしかない。
「もう一度、いいか?」
曹操は抵抗する力もない夏侯淵に耳元で囁いた。
「やっ、嫌だっ…!」
夏侯淵は涙を流して曹操の躯を引きはがそうとするが腕に力が入らない。
そんな時であった。執務室の扉が勢いよく開かれた。
「孟徳…貴様、淵に何している!」
怒りを露にして夏侯惇が執務室にずかずかと入り込んだ。
「惇兄…助けて!」
夏侯惇に救いを求めようと夏侯淵は必死に声を上げた。
夏侯惇は夏侯淵の汚された姿を目の辺りにした。
涙を流してこちらを見つめてくる瞳。
「孟徳、よくも淵をこんな目に合わせたな…!」
愛しい存在が従兄弟であり主である曹操に汚されたのだ怒る理由には充分すぎる。
「落ち着け元讓…」
曹操は慌ててしまうがなんとか夏侯惇の怒りを修めようとする。
「言い訳は聞かん。俺の淵を傷つけた罪を償え!」
いつの間にか手にした麒麟牙を曹操に向ける。
曹操は夏侯惇から逃げようとするが夏侯惇はそれさえも許さないのか逃げ道を塞いだ。
「死ね、孟徳っ!」
本気で曹操を殺しかねない雰囲気だったがそれを夏侯淵は止めた。
「惇兄、殺しちゃ駄目だって…」
「しかし、お前は酷い目に合っているんだぞ」
「わかっているけど、殿を殺しても状況は変わらないよ…」
必死に止めてくる夏侯淵に夏侯惇は仕方なく麒麟牙を下ろした。
「孟徳、淵のお陰で命びろいしたな…今度、淵に手だししたのならば本気でお前を殺すぞ」
それは警告を含めた脅し文句であった。
曹操はこの状況から逃げだしたいが為、頷いた。
「淵、大丈夫か?」
夏侯惇は着ていた羽織りを脱ぐと夏侯淵の躯を隠すかのように羽織らせた。
「うん、でも足腰立たなくて…それに湯浴みをしたくても動けなくて」
申し訳なさそうに夏侯淵が夏侯惇に呟く。
「それに中に出されて気持ち悪いよ…」
「孟徳、お前…」
夏侯惇は曹操を睨みつける。
まさか、足腰立たなくなるまでされていたとは思いも寄らなかった。
「ちょっと待っていろ…」
夏侯惇は一旦、執務室から出て暫くすると白い布を持ってきた寝台の下地を何処からか持ってきたようだ。
そして白い布を夏侯淵の躯を包むようにすると夏侯惇は夏侯淵を姫抱きした。
「惇兄っ、何を!?」
「湯浴みをするなら俺が連れていってやる…」
夏侯惇が夏侯淵に静かに呟くと曹操の執務室から出て行った。
一人残った曹操は青ざめてはいた。
夏侯惇を怒らせたら、本気で命を取られるだろう。
いくら部下で従兄弟であろうと夏侯惇が心から愛する夏侯淵を手を出せなくなるのは辛いが恋愛には障害が付き物。
困難なもの程、燃えるもの。
「儂は諦めぬぞ…」
曹操はまた夏侯淵に想いを寄せていた。



執務室を後にして湯浴み場についた二人。
夏侯惇は夏侯淵をゆっくりと下ろすと布を解いた。
夏侯淵の躯にいくつも残る情交の痕が目についた。
「惇兄…?」
「淵…」
夏侯惇はゆっくりと夏侯淵の躯に唇を寄せると曹操がつけた痕の上から更に重ねるように痕をつけた。
「っあ…やっ!」
「消毒しないとな、それに俺以外の男がつけた痕なんて俺が消してやる」
「惇兄…ああっ、やっ…」
「愛している、淵…」
夏侯惇は夏侯淵に口づけをして抱きしめる。
「俺も愛してる。だから、沢山愛してよ…」
夏侯淵からの誘う言葉に夏侯惇はゆっくりとその躯を押し倒した。
そして夏侯淵は夏侯惇に抱かれ、散々鳴かされる事になる。
だが、それは愛しくて幸せな刻を二人は感じたのであった。





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