一途な想い



ずっと側にいたかった…。

今は貴方が幸せになることを祈っている。

見つめ続ける。

もう…目をそらさない。

何よりも貴方が大切で尊い存在。

貴方を守れるなら何もいらない。

誰よりも誰よりも願っているから。

自分には決して応える事はできないけれど出来る事をしよう。

貴方の役になれるなら喜んでこの身を捧げよう。

それが俺が出来る唯一の事。

傷付き倒れた貴方を介護した。

相手は貴方を裏切った者達。

俺がその場にいれば貴方を守れたのに。

無力な自分が情けない。

目の前で傷付いているのに何もできなかった。

叫んでも貴方を助けられない。

後悔の念が夏侯淵を苛む。

寝台には夏侯惇が眠っている。

躯には包帯が巻かれていて痛々しい。

貴方を守ると誓ったのにそれを反故してしまった。

寝台に腰をかけて夏侯惇の頬に触れる。

青ざめた顔色。

出血は酷くはなかった。

ただ躯に負担がかかり過ぎて疲れて眠っている。

「惇兄…すまない」

夏侯惇の髪を指で梳いた。

今だに目覚めない夏侯惇に不安が募る。

目が覚めたらいつものように笑って欲しい。

そして、俺の名を口すさんで欲しい。

「惇兄…愛してる」

夏侯淵は夏侯惇を優しく抱き締めた。

暖かい体温を感じながら夏侯淵は夏侯惇に口付けたのであった。





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