歪んだ愛



暖かな体温を感じているのに。
想いが繋がっているのに。
何故か、満たされない。
もっと欲しかった。
貴方が俺の躯に触れる度に熱が拡がる。
そして俺を狂わしていく。
貴方の指が舌が、動く度に壊れていきそうで。
意識を保てない。
「っ…はぁ…やめ…」
甘い吐息で制止の声を上げる。
「どうして?躯はもっとして欲しいと表しているのに」
中心で欲望が先走りの体液を流して震えていた。
「もっと俺の中で泣いてくれ」
「あっ…あっ…やあぁ…っ」
普段とはありはしない甘い震えた声。
「だめ…だ…馬…超」
「普段は優しい貴方が快楽に弱いとは驚きだな」
「黙れ…俺は、このような行為は馴れてはいない…」
口からは憎まれ口を叩き睨み付ける。
「そんな顔をしても無駄ですよ。気高い貴方が敵である俺の腕の中で泣いているのだから」
馬超よりも大人びた男に笑いかける。
「夏侯淵…」
「ふん、俺はお前がこんな事をするとは思えない。何があった…」
ホウ徳の言葉を思い出した。
『馬超殿は危険だ。警戒を怠らないように』
油断したから戦場で敵に無理矢理身体を犯される羽目になった。
「貴方には関係の無い事だ!」
馬超は激しく夏侯淵を突きあげた。
「うあああっ…やめ…!」
突然、行為を再開されて馴れない躯が悲鳴をあげた。
「馬超…」
「夏侯淵…」
互いの名を呼び合い高みに昇っていく。
「も、もう…やあ」
「一緒に…いこう…」
夏侯淵の中心を優しく握り上下に動かしていった。
「やあッ…だめっ…ああッ…馬…超…!!」
馬超も激しく腰を叩き付けるように動かした。
「うあ…ああああ─────っ!!」
「くっ…」
二人は供に快楽にのまれていった。
夏侯淵は意識を闇にとばした。
暫くして意識が回復して目覚めると馬超の姿はなかった。
「馬超?何処に行った…」
俺をこんな目に合わせやがって。
何が目的なんだ。
再び会った時に、馬超に問い出してやる。
痛む躯をなんとか動かした。
「あいつは、手加減という言葉を知らないのか」
愚痴を言うが、決して憎いという思いはわかなかった。
夏侯淵は痛む身体を叱咤して立ち上がる。
なんとか下処理も終わり戦装束も身につけた。
また戦場で無様に敵に犯された身体。
でも生きているだけで何よりだ。
「さて、帰るか…」
夏侯淵はゆっくりと本陣へと脚をむけ歩いていった。





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