快楽と絶望の狭間



呂布に捕われた夏侯淵はずっと外を眺めていた。
早く戻りたいから何度も脱走を繰り返した。
だが、その度に呂布や張遼によって捕らえられ連れ戻された。
そして捕われる度に呂布に無理矢理抱かれた。
何度も抱かれた身体は汚された。
こんな身体で愛しい人に会えない。
夏侯惇に会いたい。
会いたいのにそれも出来ない。
悔しさが募る。
そして今日も呂布に抱かれるのであろうか?
夏侯淵はゆっくりと寝台に横たわると両腕に付いた枷についた鎖がジャラリと鳴る。
「……はぁ」
溜息をついて一人でいる事がこんなにも寂しいと感じてしまう。
早く帰りたい。
皆の元に帰りたい。
そして愛しい人の温もりを感じたいのにそれさえも出来ない。
重い扉が開く音が部屋に響く。
夏侯淵は扉の方へと視線を向けた。
「夏侯淵…今日はおとなしいものだな」
「呂布…もう、俺を解放してくれよ」
夏侯淵は上半身だけを起き上がらせ、呂布に懇願する。
「駄目だ。お前は俺のものだ…誰にも渡さない」
「どうして俺なんだ?」
「俺がお前を愛してるからだ…」
呂布は夏侯淵の身体を抱きしめる。
「俺はあんたに愛される理由がわからない」
呂布が自分を愛する訳がわからない。
知りたくもないのに押し付けられた気持ちを受け入れる事は出来ない。
「俺がどんなに想いを打ち明けてもお前はどうして答えない…」
「呂布…」
夏侯淵は呂布を見つめる。
悲しげに見つめる呂布に夏侯淵はなんとも言えない気持ちになった。
彼が自分を愛してくれるのを否定する訳ではない。
強引なやり方が気にくわない。
本来なら敵同士だから想いを重ねる事もない。
それなのに自分は敵である男に抱きしめられている。
「止めてくれ…お前がなんと言おうとも俺は気持ちに応える事は出来ない」
自分が愛しているのは夏侯惇だから。
「そんなにあの男が好きなのか?」
「えっ…」
「そんなに夏侯惇が好きなのかと聞いている」
「ああ、俺は惇兄が好きだ…俺の命より大切な人だ」
夏侯淵は真っ直ぐ呂布を見つめながら呟く。
呂布は悔しそうな表情を浮かべると夏侯淵を寝台に押し倒す。
「あぐっ…」
呂布は夏侯淵の身体に覆い被さる。
「忘れさせてやる、夏侯惇の事を…お前は俺のものだと思い知らせてやる」
「嫌だ、止めろっ!」
抵抗をしようとも力の差は歴然であった。
弱っている身体は力が入らず、呂布の思うがままに押さえられてしまう。
呂布は夏侯淵に口づけを落とす。
触れるだけの口づけでは無く本格的の口づけをされる。
口内に侵入した舌が夏侯淵の舌を絡めては、強く吸い、愛撫する。
慣れない行為に夏侯淵は苦しくて、微かな声を漏らす。
「んんっ…ふぁ…やぁ」
呂布は飽きるまで口づけを繰り返すと夏侯淵からは力が抜けていくのがわかった。
呂布がゆっくりと唇を離すと銀糸が二人の間に出来ては消える。
首筋、鎖骨に唇を触れさせて舌で舐める。
時折強く吸っては赤い花を散らしていく。
「ふぁ…ああ…っ」
その度に夏侯淵は甘い声を漏らす。
呂布は夏侯淵の着衣を脱がし程よい筋肉がついた体に触れる。
「やだ…呂布」
恥ずかしいのか身を捩る。
「抵抗しても無駄だ、お前は俺のものだと言った筈だ」
「俺はお前のものなんかじゃないっ!」
呂布は夏侯淵の言葉を無視して愛撫を再開する。
胸の先端に色付く果実を舐めては強く吸う。
「ああ、やあ…ん、呂布、ん…んん」
呂布は夏侯淵の胸を指を摘み、コリコリと扱く。
(うわ…気持ちイ…!?)
両方の胸の愛撫で絶え間なく快感が体を走り抜ける。
「あ…ッ、んはぁ」
呂布は夏侯淵の袴を下穿きこと脱がしいく。
夏侯淵の欲望は呂布に施された胸の愛撫ですっかり固くなって頭を持ち上げていた。
「夏侯淵、胸だけで此所がこんなになっているぞ…」
「恥ずかしい、事…言うな」
夏侯淵の欲望を握り、上下に動かしては先端のワレメに舌で舐めては吸う。
扱くと夏侯淵は喘ぎ声を出す。
「は…う…、ああ、んああ、やん」
「一人でするより、いいだろ?」
「うん、気持ち、いいよっ」
夏侯淵は素直に頷く。
欲望を口内に銜えると強く吸いながら扱く。
「っく、も…いくぅ…」
夏侯淵が絶頂を迎える前に呂布が愛撫を止める。
そしてまだ触れさせていない夏侯淵の秘所に指を突然挿入する。
「ひっ!!」
「まだまだ、これからだぞ」
夏侯淵の秘所は先走りの液で濡れ濡れであった。
「やだ、そんな、とこぉ」
夏侯淵は涙を流して濡れた瞳で呂布に訴える。
それが逆に呂布を煽っているとも知らずに。
「柔らかくしとかないと傷つくのはお前だ…」
両方の親指で秘所を拡げるようにして呂布は秘所を舐め始める。
「あっ、ん、くはぁっ、やん」
舌の滑る感触に夏侯淵は止める事無く甘い声を上げ続けた。
時折、欲望を扱いては秘所を責める。
「もぁ、いくっ…、…っくうッ!!」
夏侯淵は呂布の口内に欲望を解放する。
呂布は夏侯淵の精を受け止めてコクリと飲み干した。
夏侯淵の身体はヒクヒクと痙攣していた。
「痙攣するほど良かったか?此所もパクパクして柔らかくなったな」
呂布は秘所から顔を離して、自分の欲望を取り出した。
そして夏侯淵の秘所に欲望の先端を押し当てる。
「挿入れるぞ…力を抜いてろ」
呂布は夏侯淵の腰を掴み欲望を挿入した。
「くあああっ!!」
唾液のお陰ですんなりと最奥まで中に収まっていく。
「わかるか?お前の中に俺のが入っているのを」
夏侯淵の耳元で呂布がワザと囁く。
「…っ」
夏侯淵はその言葉を聞いて更に顔を赤くする。
「やだ、呂布…あ、も、ゆるし…」
「まだまだこれからだぞ」
呂布は律動を始めた。
グチュグチュと音を立てながら呂布は動いていく。
「あひっ、あ、あんっ」
挿入を繰り返しいくと夏侯淵の肉壁が絡み付いては締め付ける。
「呂布、んむっ」
呂布は夏侯淵に口づけをする。
「妙才、可愛いな…」
呂布は夏侯淵の肉壁の締め付けを楽しみながら律動を続ける。
「ああ、あは、いい!」
与えられる快感に夏侯淵は我を忘れる。
凄い、気持ちいい。
「そんなに激しく突かれたら壊れるっ!」
夏侯淵は呂布の動きについてこれずに、苦しげに呟く。
「キツいか、すまなかった…」
呂布は動きを緩める。
「あ、ああ、あっ、ひぃっ!」
夏侯淵は呂布に抱き付いた。
「呂布、呂布ぅ…」
「妙才…好きだ、愛している」
「…え?」
呂布は夏侯淵に囁く。
「はぁ、あんっ、呂布…っ」
「好きだ…っ」
限界が近くなって呂布は夏侯淵の腰を強く掴み今までよりも動きを早める。
「嫌ぁ、呂布、もうダメっ!」
「俺も限界だ…」
呂布は夏侯淵に口付けを落とす。
呂布が最奥を強く擦るように突く。
夏侯淵の良い箇所を擦れた為か快感に絶え切れず絶頂を迎える。
「ああ─────っ!!」
「くっ…!!」
夏侯淵の肉壁がギュルリと締め付ける。
その締め付けに耐えられず呂布は夏侯淵の最奥に精を注ぎ込んだ。
夏侯淵も呂布の精が注がれる感覚を感じながら精を吐き出した。
夏侯淵はヒクヒクと痙攣を起こしていた。
よほど気持ち良かったらしい。
「大丈夫か妙才?」
呂布が体を揺すり問い掛ける。
だが夏侯淵は快楽の余韻に浸り意識は抜け落ちていた。
「無理をさせてしまったな…」
呂布は口づけをして優しく頭を撫でた。
心地よい感触に夏侯淵は眠りに入ってしまった。
呂布は夏侯淵を抱き締めて自分も眠りに入ったのであった。



朝になると夏侯淵はゆっくりと覚醒する。
突然走った痛みに起き上がる事もままならない。
隣を見ると呂布が眠っている。
呂布を見ると夏侯淵はなんとも言えない気持ちになった。
自分には心に決めた相手がいる。
嫌なのに、抱かれている。
こんな事を続けても意味がない。
なのに彼は自分を求めている。
どうしてなのかわからない。
「妙才…」
「呂布、おはよう…」
隣で眠っていた呂布が目覚めると夏侯淵の身体を抱きしめる。
夏侯淵は呂布に挨拶をする。
「妙才…俺の側にいてくれ」
「呂布…」
「お前を失いたくはないのだ」
呂布はゆっくりと口づけを落とす。
抵抗をする暇も与えずに口づけを続けた。
ずっとお前を愛している。
呂布が想うのはただそれだけであった。





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