三つ巴



※現代パロ

突然の出会いは突然おきるもの。
あの男に会った時は、俺はまだ軍人だった頃。
まさか、長い付き合いになるとは思わなかった。
小規模の軍事施設にあの男は乗り込んできた。
なんでも武者修業で強い者と闘いたいと言っていた。
その時は施設の監察に来ていた。
偶然、その出来事に巻き込まれた。
「この基地で一番強いヤツと闘いたい、勝負しろ!」
男を取り押さえようとするがことごとく倒された兵士が何人もいた。
このままでは犠牲者が増えるだけだ。
「どうする曹仁殿?」
顔を掌で覆い悩む曹仁に隣では面白く笑う張遼が言う。
「やはり、彼奴の相手をしないといけないのか…」
重く溜め息をつく。
「あの暑苦しい相手は確かに引くな」
「代わってくれないか、張遼…」
「相手は軍人である曹仁と闘いたいと言っているぞ。早くしないと犠牲者が増えるぞ」
副官である張遼なら簡単にのしてしまうだろう。
「わかった、相手をする」
曹仁は仕方なく男の元へと向かう。
「私も行こう…」
張遼とともに男の元へと向かった。
曹仁と張遼が男の元へ来ると部下が慌てていた。
「なんだ、此処には強いヤツはいないのか?」
男は高笑いをして相手を見下していた。
「そんなに強いヤツと闘いたいのか?」
曹仁は男に話かける。
突然、声を掛けられて男は笑うのをやめた。
「次はアンタが相手するのか、そんな優腕で俺を倒せると思ったのか」
「だとしたら?」
「自身があるんだな…、アンタは」
曹仁は何も言わずただ構える事もなく立っていた。
隙がない。
気を抜けばこちらがやられる。
どちらも動こうとしない。
見かねた張遼は、一枚のコインを取り出して地面に落とす。
チャリーンとコインが落ちると二人は一斉に動き出した。
「はあっ!」
男の攻撃をわざとぎりぎりで避けている。
コイツ、俺の拳を避けただと。
曹仁は素早く男の腕を掴み背後に回して腹を膝で蹴りあげる。
そのまま背中に肘打ちを叩きつけると男は地面に崩れ落ちた。
「がは…っ…」
「威勢がいい割りには、動きに無駄があるな」
「うう…」
「さすがです、曹仁大佐!!」
部下達が喜んで近寄る。
「これでこりたなら、帰れ。素人が半端な気分で強くなろうと考えていればいずれは怪我をするぞ…」
曹仁が立ち去ろうとした時であった。
「待ってくれ、曹仁と言ったな。強いなアンタは、俺はその強さに惚れたぜ!」
「何!」
曹仁よりも側にいた張遼が驚く。
「是非、俺を鍛えて欲しい。何でもする」
「どうしよう、張遼…」
「どうしようも、ちゃんと答えないとずっと此処に居そうたぞ」
二人は聞こえないようにひそひそと話す。
曹仁は悩んだ。
「勝手にしろ、俺は知らないからな」
「曹仁殿、無責任すぎるぞ…」
「本当か、まだ名前を名乗ってなかったな…」
男は嬉しそうに話す。
「俺の名前は典韋だ、よろしくな」
「ああ…よろしく」
勢いに圧されて曹仁はつい、返事をしてしまったのだ。
それがこの男、典韋との出会いであった。
それからというと、典韋は曹仁に付きまとっていた。
曹仁が仕方なく相手をしようとするが張遼が邪魔をしたり、用事で呼んだりしている。
それは張遼が意図的に二人っきりにはさせないようにしていた。
さすがに典韋も気付き始めた。
「おい、張遼…」
「何だ?」
典韋は張遼を呼び止めた。
「何でいつも曹仁と組手しようとすると邪魔ばかりするんだ」
「私はお前に呼びすてにされる覚えはないが、お前が気にくわない」
「俺もお前が嫌いだ」
「曹仁殿はお前に付きまとられて困り果てている。これ以上近寄るな」
「嫌なそぶりをしてないぞ」
「それは曹仁殿が優しいだけだ!」
張遼はキッパリと言ってやった。
「!!」
ショックが隠しきれない様子。
そんな会話に曹仁の声で中断した。
「張遼、緊急の仕事が入った。行くぞ!!」
「了解!」
張遼は命令が入り、曹仁の元に振り向こうとした瞬間。
張遼は典韋に勝利の笑みを一瞬浮かべて歩いて行く。
「!」
一人残された典韋は悔しそうであった。
「絶対に諦めないからな」
典韋は決意した。
「張遼よりもふさわしい相手になってやる!」
それ以来、典韋は張遼をライバル視したのであった。





prev next

 

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -