貴方が好き



あの人に『子孝』と呼ばれた時。
ドキン、と胸が高鳴った。
本当に何気無い会話をしていた時だった。

「ああ、そういう行動を取る事が子孝にはあるな」

突然、言われた瞬間に私の心臓の音が曹操に聞こえるかもしれないぐらい高鳴る。
ただ、名前を呼ばれただけなのに。
私は顔に熱が騰がっていくのを感じた。

「どうかしたのか?顔が赤いぞ。子孝…」

曹操は曹仁の顔を覗き込む。
心配する曹操に対して曹仁は逆に焦りを感じた。
近い、顔が近いよ。
よく見ると綺麗だな。
漆黒の瞳や肌も綺麗。

「…殿、私は変なんだ…」
「どうした?」
「貴方に名前を呼ばれただけで胸がドキドキしてしまう」
「……………」

曹操はそんな曹仁に微笑む。
可愛いヤツだ。
頼れるがこういう恋愛事はまだ不慣れだと思った。

「…子孝」

曹操が名前を告げた瞬間、唇に柔らかい感触があった。
曹仁からの口付け。
唇はゆっくりと離れた。

「よく判らないけど口づけをしてみたいっと思った。殿が綺麗だったから」

完全に顔を赤くして言う。

「突然なんだな子孝…」
「やはり不慣れな事をするものではないな。嫌だったか?嫌ならいってくれ。殿が嫌いな事したくはない…」

曹仁は顔を伏せた。

「………………」

曹操は黙ったまま何も答えない。
さすがに怒らせたのか、叱られるかと、ぎゅっと両目を瞑る。
だが曹操は叱る事はなく曹仁の頬に掌を添えた。

「!」

曹操は曹仁の唇に口付けをする。
最初は軽くついばみ、段々口付けが濃くなっていた。
口内に舌を入れられて息ができなくて、頭の中が真っ白になりそうであった。

「んはっ…あっ…やあっ…」

途切れ途切れに、曹仁の声が漏れた。
曹操が唇を離すと曹仁は自分の足で躯を支える事ができなくて曹操に支えてもらわなくては立つ事はできない。

「なんだ、もう腰が立たないのか?」

曹操はクスッと笑う。

「うるさい。殿のせいなのですぞ…!」

曹仁は顔を赤くしていた。
恥ずかしいのか文句を言っている。
曹操は、そんな曹仁が可愛いと思う。
好きなんだと。

「…子孝」
「何です、殿…?」
「好きだ…」
「私も好きです…」

曹仁は笑顔で答えた。
二人は目を閉じて口づけをしたのであった。





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