劉飛
(現代パロ)
自分をひた隠しながら生きるのは大変だなと思う。
幾ら何でも義理の兄である劉備と自分を見比べられたら勝ち目はない。
どうせ、自分は劉備のように頭は良くない。
自分には届かない相手である劉備は多忙な日々を送る。
だからいつも一人で食事をして一人寂しく眠る。
たまに恋人である関羽と一緒にいるけれど、やはり寂しいと思う。
「兄者は俺の事が嫌いなんだ…」
だからたまに家に帰ってきても会話もままならないまま自室で眠ってしまう。
毎日作った料理も無駄になるから自分だけ作るのも面倒だからと外で食べる機会が増えた。
帰ってきてもこんなにも広く感じる部屋。
いっそうの事、関羽の元で暫く暮らそうと思った。
一人は寂しいからと張飛は関羽の元に訪れる。
「どうしたんだ翼徳…こんな夜更けに?」
出迎えた関羽に張飛は抱き着いた。
「兄者が帰ってこない。一人でいるのは嫌だから暫く此処に泊めさせてくれないか?」
「そうか、拙者は構わんぞ…」
張飛の背中を優しく撫でながら関羽は呟く。
「今日はもう遅い。寝室にいこう…」
「うん…」
関羽に連れられて寝室に行くと関羽に寝間着を渡された。
「今夜は拙者と寝よう…その方が落ち着くだろ」
「ありがとう、雲長…」
関羽は張飛と共に一夜を過ごした。
次の日、関羽は張飛に内緒で劉備に連絡をとった。
「兄者、翼徳が寂しがっている。一度家に帰ってきたらどうだ?」
『翼徳には寂しい思いをさせてしまったようだな。解った今から雲長のマンションに向かうから』
「解った…」
劉備が仕事を放りなげても張飛を迎えにくる。
それは劉備が張飛を想っているからであろう。
暫くして関羽のマンションに劉備がやってきた。
「兄者、何で此処に?」
「雲長が教えてくれた。済まなかった翼徳…寂しい思いをさせて」
「兄者ぁ…」
張飛は劉備に抱き着いて涙を流した。
劉備は張飛を抱きしめる。
「泣かないでおくれ。私は間違っていた。今度からは翼徳が寂しくないように家に帰り翼徳と共にいる時間を大切にする…」
「兄者、本当か?だったら俺は嬉しいよ」
劉備の言葉に張飛は笑顔を浮かべた。
「ああ、本当だとも。私には翼徳が大事だからな…」
「兄者…」
「一緒に家に帰ろうな…」
「うん、帰る。一緒に家で過ごそうよ、俺は兄者に家で安らいで欲しいから家事とか頑張るよ」
「なら翼徳が作る料理を食べたい…」「解ったよ、兄者の好きなの作ってやるから」
機嫌を良くした張飛は嬉しそうだ。
「雲長…世話になったな。この礼は改めてするよ」
「いや、気にしてませんぞ。良かったな翼徳、兄者とこれから過ごせるぞ」
「ああ…雲長、また何かあったら連絡するよ」
「痴話喧嘩はしないで下されよ。拙者は巻き込まれるのは御免だ」
「あはは、しないように努力する」
劉備はそう言うと張飛と共に自宅に帰って行った。
「なあ、兄者。毎日、家に帰っても一緒に過ごせるだけで俺は充分だから…」
「遠慮するな。寂しかった分、甘えて良いのだぞ」
「ふふ、兄者のそう言う所が大好きだな」
「私も翼徳が大好きだぞ」
二人は笑いあい安らげる家にと戻ったのであった。
終
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5th.Jun.2011
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