羽飛
(現代パロ)
まさか、任務に失敗するなんて思わなかった。
追っ手を撒くのに必死で関係のない者を傷付けても心は痛まない。
自分が生きるのに必死だった。
ただ生きて、彼の元に辿りつければそれでいい。
お前に会いたい…。
深夜の高層マンション。
関羽はそのマンションの一室に向かった。
夜中に尋ねるのは悪いと思いつつもインターフォンを鳴らす。
その音に部屋の住人がドアを開けた。
「誰だ、こんな夜更けに…て、雲長か。どうしたんだ?」
「すまん翼徳、匿って欲しい…」
「とりあえず、中に入れ」
「ああ…」
関羽は張飛の部屋へと踏み込んだ。
すれ違う時に感じたのは微かに血の臭いを感じた。
「雲長、怪我しているのか?」
「どうしてそう思う?」
「血の臭いがした。任務だったのか?また誰かを殺めたのか?」
「任務だったが、失敗した…敵に追われる身だ。暫くは身を隠す、長いはしないから安心しろ」
「雲長、手当てするから服脱いで…」
「すまん…」
関羽は張飛に言われるまま服を脱ぐと関羽の肩に新しい銃創があった。
張飛は新しい布で止血して手当てを施す。
「もう、今の仕事は止めないか。人殺しなんて止めてくれよ…」
「翼徳、拙者はもうこの稼業を長年やってきた。裏の世界から脚を洗うのは到底無理だ」
「俺は心配なんだよ、もう雲長が傷つく姿は見たくない…」
「翼徳…すまない」
関羽は張飛を引き寄せると抱きしめる。
張飛は関羽の体温を感じて涙を流す。
「雲長、好きだ。大好きだ。だから忘れないでくれ…此処は俺の家だけど雲長が安らげる場所だと言う事を」
「ああ、忘れるものか。拙者は翼徳のものだ。どんな事があろうともお前の元に帰ると誓うぞ…」
「本当か?約束だぞ雲長」
「ああ、愛している翼徳…」
「俺も愛してる…」
二人は口付けを交わした。
朝が来れば関羽が居なくなるのを知っていた張飛は関羽の身体を抱きしめて眠りについた。
関羽は愛しい張飛に微笑みを浮かべその身体に腕を回した。
「すまない、またお前を悲しませる事になるな、それでも拙者は止める事は出来ない」
暗殺者として生きる自分は人としての幸せは得る事は出来ない。
だから刹那の時でもお前と共に生きられる時が何よりの幸せなのだ。
関羽は張飛の額に口付けて眠りについた。
終
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4th.Jun.2011
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