4時間目のチャイムが鳴り終わると共に、俺は教室を出て部室に向かった。
前の授業が少し早く終わったらしい柳は既に来ていた。

「それで、話って何だい?」
「精市は瀬名をどう思っている」
「瀬名さん?普通に真面目ないい子だと思うよ」
「精市のクラスは今日歌のテストだった、そして瀬名は休んでいた、間違いはないか?」
「ああ、その通りだけどそれがどうかしたのかい?」
「瀬名は普段は滅多に欠席などしない真面目な生徒だ。だが、彼女は決まって歌のテストの際、音楽の授業に来たことがない。遅刻してくるか、その時間だけ保健室に行くか、あるいは一日学校に来ないか。普段の素行の良さ故気に留める者はほとんどいないが、不自然だとは思わないか」
「そう、だけど、単なる偶然かもしれないだろう?」
「俺も最初はそう考えた。通常、テスト本番を欠席すると大幅に減点されるものだ。だが、俺のデータによると、瀬名の音楽の成績は10段階の10、しかも歌のテストは毎回満点だ」
「…話が見えないんだけど」
「テストを欠席する理由が歌を聞かれたくないからだとすれば?そうしてまで聞かれたくない理由は?それに先程述べた要素を考え合わせた上で俺は一つの仮説を立てた」

あながち外れてはいないはずだと柳が述べた、その次に続く言葉は。

「瀬名歩は、『ラピス』かもしれない」

あまりの突飛さと、混乱で、俺は言葉を失った――。


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